続・雪の中で・・・

一部、読みやすさを考慮し、改行を入れさせて頂いた部分がございます。(熊猫)
一部、明らかなミスタイプがございますが、そのままにしてあります。(熊猫)


あれから3年後・・・
「ままーごはん!」
「おなかすいたよぉ」
「ねぇねぇ」
「おやつがいいぃ」
「ぼくはいらない!」
「みんな外で遊んでおいでっっ!」
5つ子は、もう3才。
上からたかひさ   
   ありさ
   あんな
   あゆみ
   たくま
私はまだ18才。
たくむは最近、会社に勤め始め、生活もだいぶ楽になった。
「ままぁ!!きてぇ!」
「うわぁあ!」
「すごおい!」
「もぉ~どうしたの?」
子供たちの視線の先には、真っ白な毛のうさぎと、いろんな模様のうさぎが4匹。
「・・・みみっ!」
みみはうれしそうにピョンピョン跳ねた。
「まましってるの?」
「ねぇねぇ、おうちでかおうよ!」
「うーん・・・そうだね! みみ、おいでっ」
こうして私は、みみと再会した。




次の日、朝起きるとみみがいなくなっていた。
どこにいったんだろう。と、外にでると、ピョコピョコとみみが帰ってきた。
そのうしろには、よろよろと歩く鹿の姿があった。
私は言葉を失い、呆然としていると、鹿が私の手の中になにかいれようとしてくる。
見ると、古ぼけたコインだった。
(私って動物に好かれる人だったんだ・・・)
そのとき鹿が、座りこんだ。
地面が濡れている。
もしかしてうまれそうなの!?
私は、みみのときの経験を生かし、なんとか鹿の出産を手伝った。
そして、無事出産した。
鹿は、しばらくはうちにいすわり、5人ともよく遊んでいた。そしてまた野生に戻り、ちょくちょく遊びにくるようになった。
しかしそれから、動物のお客さんが増えた。
5人は喜ぶんだが、ただの動物ならまだしもたいがいが、赤ちゃんが産まれそうな動物なのである。
たぬきやきつねやねずみなど、はばひろかつた。
そして、たいがいが何かをくれた。古いコインだったり指輪だったり・・・そんなものがたくさんたまってきた。
しかし捨てるのも勿体ないと思い、街に買い物に行ったときにその品々を売った。
すると、歴史的遺産だ!といって、トータルで200万ほど儲かった。
そのお金で家をリフォームし、私は動物産婦人科を経営しはじめた。




それからも、お客さんは3日に1度くらいのペースで、どんどん来た。
私は、市販の動物の出産についての本を買いあさり、勉強した。
はっきり言うと、夫よりも儲かっている。
そんなこんなで、2年がすぎた。
子供たちは5才になっており、
保育園に通うようになった。
私はまた妊娠し、もう臨月になっていた。
家は、リフォームをかさね、倍以上に大きくなった。
自由に動物たちが出入りできるような小屋もつくった。
そして今日は、保育園の2泊3日のお泊まりの日。そしてたくむの出張。
この日にだけは、陣痛が起こってほしくなかった。
しかし、5人を送り出してすぐ、弱いながらも陣痛は来てしまった。




・・・破水してしまった。
「あああっやあああ!!!う″く″ぅぅっっ」
耐えようのない激痛が走る。
どこが痛いとか、どのくらい痛いとか、もうそんなレベルじゃなかった。
うさぎーみみという名前をつけようーは、
もう壁を削るのをやめ、その場にぐったりしていた。
助けようとしたが、体が動かない。
「あ“ーーーーーっうまれないでぇっ うぅっ でるぅっっ! あああっでちゃう・・・あああン」
あまりに長い間いきむのを我慢きていたため、赤ちゃんが勝手に出てきてしまったのだ。
「ああっ だめぇ! がまん・・・し・・てっっぐああああああっっ」
押し込もうとしたが、逆にどんどん出てきてしまう。
赤ちゃんだって早く出たいんだ。
私は決意した。
みみのように、ここで赤ちゃんを産むと・・・




お昼は、ずっとみみたちがいてくれたけど、陣痛がいよいよ強くなってきた。という夜中には、もう寝てしまっていた。
起こすのも悪いので、1人で陣痛に耐えた。
2回目だし、1回目には、あんなにすごい出産を行っていたので、家でゆっくりしながらお産をできるのは、とてもありがたかった。
そのとき、コンコンと、ドアがたたかれた。
時計を見ると、もう夜の11:00をまわっていた。
(こんな遅くに誰だろう・・・)
そう思いつつも、ドアを開けると、ぐったりしたタカくらい大きな白に金の混じった毛を持つ見たこともないような鳥がいた。
私は、突然のお客さんに戸惑った。
鳥は卵を産むため、ここにくることはほぼなかったのだ。
このとりは、やけにお腹が大きかった。
とにかく私は急いで家に入れてあげた。




(鳥って卵産むとき、こんなに痛がるっけ?)
と思いつつも、その鳥に見とれていた。
まだまだ強くなったとはいえ、進むのがすごく遅かったので、余裕だった。
<家にいれくださってありがとうございます>
突然その鳥が喋りだした。
「え?えぇっと・・・ええーーー!? あたたた」
<すいません!あなたもお産中だったのですね?しかし・・・ううぅっ>
「あなたは誰なの?」
<私は世界中の森の守り神なんです。アシュといいます。どうか信じてください。 あふぅッ>
私は夢じゃないか と思ったのだが、あきらかにお腹が痛いので、信じた。
「分かった。信じるけど・・・鳥のお産ってそんなに痛むものなの?」
<いえ、違うんです。うくぅぅっ ああああっ>
突然アシュは、叫んだ。
そして、洋水ではない何かが、パラパラと落ちてきた。

卵の・・・殻?
それを拾ったときに、急に私のお産も進みだした。




「あぅうっッ これって、卵の殻じゃないッッ?
あぅン」
<そうなんです・・・ああふぅぅぅ お腹で卵が成長しすぎてッ あアアーっ 中で割れちゃったっ みたいでッ
ふあぁんっっ 助けてくださいッッ ハあ″ーーーっ>
アシュはそうとう苦しいようだ。
でも鳥はもともと赤ちゃんを産むような体の仕組みじゃないから痛くてあたりまえなんだけど。
「とにかく今は耐えてっ アくぅッ あなたの子宮口っ まだまだ開いてないのッ ハあああぐぅぅン」
<ああっ やあぁっ ダメですっ・・・はああああんんんっ>
「いきんじゃだめよ! 我慢するのっ あふぅぅんっ」
<あああっ 分かりましたぁっ ふわああぁあァンっっ>
2人は長い間ずっと耐えた。
もう朝日がのぼっていた。
<実はッ 私はもともと人なんですっ ああああーーっ>
「??どういうこと? あぐううっ」
激痛に耐えながらも会話をする。
<私ッ まだ人でいう10才くらいでっ でもっ神様が、森の神になれって言うから・・・はあああぅっ 鳥に姿を変えてるんですっ
あああくぅ だからっ お腹で卵が割れちゃったのかも・・あああぐっ しれませんッ はんんんんっ>
「10才!? 大丈夫なのっ?」
<分かりませんッ はああああーっ あぅぅっ>
私は動揺してしまい、焦ってアシュの元に行こうと立ってしまった。
プッ バシャッ
「あ″あ″あ″あ″ア″ア″ア″あ″ーーーーっ」
その場に倒れこんだ。
2人目で、進みが速かった。
「はあン はううっ ううーーっ んんんっ」
<あ“ーーーーっン も・・・だめですっ ああうっ>
2人はもがき苦しんだ。




そのときすでに私は赤ちゃんの頭が半分出て来てしまっていた。
しかし私はタオル以外のお湯やハサミなどを、何も用意していなかったのである。
「あうぅぅんんっ アシュ・・・ちょっと あんンッ 待っててっ はぅぅ」
私は出てきてしまいそうな赤ちゃんの頭を押さえ、お湯を沸かす。
その間にも、赤ちゃんはどんどん出てくる。
「まってぇっ あふうぅぅン あああぁっ!!」
「フギャアッ 」
「産まれたぁっ・・・」
急いで赤ちゃんをタオルでくるみ、まだ若干痛むお腹をさすりつつ、ベッドに寝かせた。
<あ″ーーーーーーっっ>
そのとき、叫び声が聞こえ、走ってアシュのところに戻った。
「どうしたのっ?」
<なんかっ はあぅん 頭ッあたまぁっ!!>
頭が出かかっている。
「あとちょっ・・・ひゃあああああん」
私にもまた激痛が襲いかかってきた。
双子だったの!?
叫んだのとほぼ同時に、もう頭がでてきた。
「<はあ″あ″あ″ア″あ″あ″ア″ーーーーーーッッ>」
ズルルルッ




同時に赤ちゃんが出てきた。
アシュは、2羽続けて出てきた。
2人で抱き合って泣いた。
そして、
<本当に、本当に助けてくださって、ありがとうございます!!お礼に、これをさしあげましょう。では、また遊びにきます。>
そう言って、私に粉のようなものをかけ、消えてしまった。
そのとき、うしろから、
<あ″ー!!うまれてるぅ!>
と、声がした。
みみ!!!!!
アシュは、私を動物と話ができるようにしてくれた。

それからも、私は幸せいっぱいの人生を歩んだ。



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