雪の中で・・・

一部、読みやすさを考慮し、改行を入れさせて頂いた部分がございます。(熊猫)



私はあいな。15才。妊娠9ヶ月。
1つ上のたくむとの子供ができたから、学校をやめると言うと、親に縁をきられ、北海道の田舎の小さな家で暮らしている。
「おーい!そろそろご飯だよー!たくむっ!」
「あともう1すべり!!」
たくむはこっちに来てからスノボーにはまり、毎日滑っていた。
「もう!本当に・・・ でもかっこいい!!」
それからたくむは、なかなか帰ってこなかった。外はすごい吹雪だ。
警察にも連絡したが、この吹雪じゃ行けないといわれた。
心配になって、私はすごい厚着をして外に出た。
「たくむーーーーーっ!
どこぉぉぉーーーーー?」
雪が目に入り、前が見えない。でも私は、ただがむしゃらに進んでいった。
30分ほど探し歩いた。
「たくむーーーーっお願い!出てきてぇっ!」
顔は涙でぐちゃぐちゃだった。
「たくむぅーーっ  」
そのとき、もうどこを歩いていたのか分からなくて、いつの間にか立ち入り禁止区域にはいってしまっていた。崖があるのだ。
「たくむーーーーーーーっ   きゃっ」
そして私は、崖から落ちてしまった。
幸い雪がクッションになり、無傷だった。
「あれ?私落ちちゃって・・・痛ッッ」
とつぜんお腹が痛みだした。
「ごめんね?びっくりしちゃった?大丈夫だよ・・・っうぅ」
定期的に痛みは襲ってくる。もしかして・・・陣痛?!?




どうしよう・・・
この痛みかたは、まぎれもなく陣痛だった。しかし私のお腹には、5人も赤ちゃんがいて、
ちゃんと病院で出産しなければ命の危険がある。と、医師からも言われていた。
携帯を見たが、やはり圏外。
「赤ちゃ・・んっっまってぇっ ああっ 今うまれちゃったら、ダメなのッッあああンッ」
着実に強くなる陣痛。
しかしここで産まれては命にかかわる。
せめてもう少し温かい所へ・・・と思い、痛みに耐えながらも、必死で進み、やっとのことで洞窟を見つけて、中に自分のコートを敷いてそこに倒れこんだ。
「ふうぅっっ お願いぃっ うまれ・・・ないでぇっ!!」
子宮口を手鏡でチェックすると、痛さのわりにはまだほんの2cmほどしか開いておらず、安心した。
そして陣痛がひいたころに、ヨロヨロしながら洞窟に、小さな影が入ってきた。
真っ白なうさぎだった。
うさぎは、まるで暖を求めるかのように、私の横にすがってきて、うずくまった。
体はブルブル震えている。息も荒い。
可哀想に。と思い、服の中に入れてあげた。
最初は、ものすごく冷えきっていた体も、だんだん温かくなってきた。それでもまだうさぎは震えて、荒い息をしていた。
どうしたんだろう?
そのときまた陣痛がきた。




「っっっつぅっ はぁっはあっはあっ」
私はいきみに耐えているときに、気が付いた。
このうさぎは私に似ていないか・・・??
そのとき、胸のたりで、何か濡れた感触がした。
そっとうさぎを出してみると、おしりの方から何かが出かかっていた。
「赤ちゃんっ!?」
私は陣痛も忘れて、食い入るようにそのうさぎを見つめた。
なんとも言えないような声で鳴きながら、必死にいきんでいた。
   そのとき、
ニュルン
赤ちゃんが出てきた!
うさぎは赤ちゃんをペロペロとなめている。
ヌルッ
一瞬なめるのをやめたのかと思うと、またもう一匹でてきた。
「わぁっ!よかったねぇっ」
私はうさぎに話かけていた。
「っっ!ああああっっ はあっ はあっ ふぅぅン」
さっきの陣痛が戻ってきた。
すごい時間がたっていたのだろう。すでに8cmにまでなっていた。
(ヤバイ!)
「ああっ いやぁ!まってぇ・・・いたっあああああン ふぅぅっ 」
さらなる痛みが私を襲う。
そのとき、おもむろにまだまだお腹の大きなうさぎが立ち上がった。
壁の方までヨロヨロと歩いていき、爪でガリガリ壁を削っていた。
よっぽど痛いのだろう。
「うぐぅぅぅっ はあ″あ″あ″っ!!」
バシャッ




・・・破水してしまった。
「あああっやあああ!!!う″く″ぅぅっっ」
耐えようのない激痛が走る。
どこが痛いとか、どのくらい痛いとか、もうそんなレベルじゃなかった。
うさぎーみみという名前をつけようーは、
もう壁を削るのをやめ、その場にぐったりしていた。
助けようとしたが、体が動かない。
「あ“ーーーーーっうまれないでぇっ うぅっ でるぅっっ! あああっでちゃう・・・あああン」
あまりに長い間いきむのを我慢きていたため、赤ちゃんが勝手に出てきてしまったのだ。
「ああっ だめぇ! がまん・・・し・・てっっぐああああああっっ」
押し込もうとしたが、逆にどんどん出てきてしまう。
赤ちゃんだって早く出たいんだ。
私は決意した。
みみのように、ここで赤ちゃんを産むと・・・




もう真っ暗だ。
「ふんんんっっ はぁっ あああっ はァんっ ああああああっ ふぅんああああっ」
赤ちゃんの頭が完全に出てきた。
みみも、こんなに痛かったのだろうか・・・ましてや、今なんかは私よりつらそうだ。
2匹の赤ちゃんは、その横でお母さんにすがりついていた。
私は下着を脱ぎ捨て、その場にしゃがむような体勢になり、いきむのに耐えた。
頭が出たら、いきんだらいけないということを、かろうじて覚えていた。
「はっはっはっ はっ・・ああああああっ・・・いやあ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″つっ」
ズルッズルルッ
「フギャッオンギャッ」
2人が、続けて出てきた。
急いで自分の服をやぶり、2人にかけ、おっぱいをあげた。
泣いてしまった。
無事でよかった・・・。
でもまだ3人もいる。
先に産まれた2人を、洞窟のもっと奥のほうにつれていき、そこに寝かせた。
そして急いで戻り、みみの様子を見ようとした。
「みみっ大丈夫・・・!!!!」
急いだのが原因かなのか、いきなり赤ちゃんの頭が出てきた。
突然の激痛に声も出ず、その場にしゃがみこむ。
「ああっっ大丈夫よ・・・ちゃんとっ ふうぅん産んであげるっっから・・・あぐううぅっっ みみの様子・・・見せ・・てっ ああンッ」
なんとかもがきながらもみみのもとに辿りつき、赤ちゃんの様子をうかがった。
!!!!!
目を疑った。
2匹がいっぺんに出てこようとして、挟まっていたのだ。
しかし私には、基本的なことや、へそのおの切り方など、そんなことしか分からないので、
こんなときにはどうすれば1番良いのか分からず、ただただお腹をさすってあげることしかできなかった。




「ひゃんっ あああああつ 私も頑張るからっ ふぅぅんっ みみもっ 頑張って…あああああーーーーっ 」
頭が出てきた。
「はっはっは…はああああンっ みみぃ・・・」
そのとき、みみが一瞬びくっとなった。
赤ちゃんたちの頭が少しでてきたのだ。
血と一緒に。
多分裂けてしまったのだろう。
すごく苦しそうに、身をよじらせている。
「ああ・・・みみ・・・もうちょっとだか・・・ら・・・うくうぅ
はぁはぁ 頑張ってぇぇ ふぅぅううっ」
私の応援に反応したのか、本当に少しずつだが、みみは再びいきみはじめた。
「はぁっ よかっ・・・ ははああぁぁぁあああっっ!!!」
「・・・ンギャアッ フンギャアッ」
産まれた。
「よかったぁ・・・あぐぅっ」
次はすぐにまた陣痛がきた。
お腹をさすりながら、おっぱいをあげる。
そして奥の2人の隣に寝かせた。
「ふんんんんんっああっ」
ものすごく順調に私のお産は進んだ。
ものすごい激痛をともなったが、
病院にいかなければならないと言われていたわりには、すごく順調。
そのあとも、また1人、すんなり産まれた。
そして次の陣痛をまっているとき、
みみがすごくか細く鳴いた。まるで助けを求めるように。
みみの元に行くと、もうみみの毛が真っ赤に染まるほど血が出ていた。
「みみっッッああっ」
最後に陣痛が始まった。
しかし、これまでとは比べものにならないほど痛かった
「あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーーーっっっ無理っっ!!」
ズルッ
「あ!」
私の赤ちゃんではない。
みみの赤ちゃんの1匹が生まれた!
しかしもう1匹はひっこんでしまった。
みみはまたいきむ。
私も・・・
「ふんんンンンっっ いやああああああっ」
破水した。
そこから私はいきんだが、もう体力が残っていなかった。
みみもきっとそうだろう。
いきむのをやめて、ぐったりしている。
私はいい考えを思いついた。




立って産もう。
重力で赤ちゃんが下がってきてくれるかもしれない。私は、必要以上に着ていた服を、半分ほど脱いで、下に落ちても大丈夫なように敷いた。
なんとか立ち上がり、みみを抱き上げいきむ。
思った通り、赤ちゃんは下りてきた。
そのとき、ニュルンとみみの赤ちゃんが産まれた!
私はそっとみみを下におろした。
もういないのだろう、4匹の我が子におっぱいをあげていた。
「よかったね!みみ・・・ああああああーーーっっン」
頭が出た。
しかしそこからがなかなか進まなかった。
肩がひっかかっている。
しかし私の体力はもう限界をはるかに超えており、その場にへなへなと座りこんでしまった。
もういきむ力も残っていない。
ただ、お腹を象に踏んづけられ、腟を燃やされているような激痛が、私を襲うばかりだった。
そのときみみが、産まれたばかりの4匹の赤ちゃんうさぎをつれて、よろめきながらも走り去ってしまった。
まだそんな体じゃ・・・と、引き止めたかったのだが、もう体が全くうごかなかった。




そのとき!
「あいなッ!!!」
たくむがきてくれた。
「た・・・くむ・・うぅ」
私は消えてしまいそうな声で答えた。
「ごめん。俺のせいだ。」
「どうして・・ここが? あぐっ」
「いや・・・血だらけのうさぎが洞窟周辺をぐるぐるしてて、なんだろうと思ってきたんだ。」
みみだ!
みみが私を助けてくれた。
「たく・・む お願いなんだけど・・・ああっ  赤ちゃん・・・ひっぱって・・・あああっ」
たくむは、私のアソコと、洞窟の奥を見て驚いた。
「・・・ここで産んじまったのか?     分かった。いくぞ?」
「うあ″あ″ア″あ″あ″ア″あ″あ″あ″あーーーーーーー
裂けるぅっっ ふわぁぁっっッ」
「フンギャア アンギャア。」
産まれた!
5人共・・・無事!
私はまた泣いた。
たくむと6人で。
無事に産まれてくれたこと。
みみが助けてくれたこと。
たくむがきてくれたこと。
全て嬉しかった。
そして病院に行き、医師こっぴどく叱られ、そして誉められ、家に帰った。



            続編:続・雪の中で・・・


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