とある母親の妊娠記録(プレママカルテ)

一部、読みやすさを考慮し、改行を入れさせて頂いた部分がございます。(熊猫)
一部、明らかなミスタイプがございますが、そのままにしてあります。(熊猫)

投稿日 : 2010/04/14 14:10 投稿者 : オロエイト

※これは、私たちが生活している今の時代の、ごく普通な一人の妊婦さんの、
「妊娠発覚から出産終了までの日常」をリレー形式で繋げていく企画である。

従って、分類上「出産小説」より「妊婦小説」であり、出産シーンは
最後のクライマックスイベントである事を、頭に入れて書いて頂きたい。

一レスの長さなどは制限しませんが、なるべくシーン単位でお願いします。
場面も演出も不明な投げっぱなしは次の人にとって迷惑になりかねません。


【ルール】<守っていただいて欲しい、企画上に必要なものです>

※「必ず」最初の一行にこのシーンの発生時間を入れること。
劇中経過時間の長い小説なので、これがないと、書き手も読み手も
時間軸に混乱します。簡単な一言で大丈夫。(例:妊娠20週0日目 朝)

※時間の進み方:

1.次の書き手が一度に進める劇中時間は最大「一週間」でお願いします。
 この小説の肝は「妊婦の日常」なので、いきなり出産突入は無しです。

2.既に進んだ時間は巻き戻しが出来ません。前の人が残した出来事が
 そのまま設定となり次の人がそれを沿って続きを書いて欲しいです。

3.一度に進める最短時間は制限しません。シーンが違うならありです。
 同日の場合も時間表記をお願いします。「一時間後」だけでも助かります。

4.明らかに前の流れを無視したようなレスは無視しましょう。
 各レスの書き手がそれぞれ違うから、書きたい物語も当然違います。
 が、他の書き手の意思を汲み取るのはリレー小説の基本でもあります。

※以上です。皆さんの企画参加を心よりお待ちしております。



投稿日 : 2010 04/14 14:51 投稿者 : オロエイト

妊娠9週4日 昼頃

「空木さん、おめでとうございます」
「……へ?」

にこりと微笑む女医先生の一言に、空木涼子は自分の耳を疑った。

『妊娠3ヶ月目』

生理不順で体調を崩したと思い、仕方なく婦人科に来た涼子にとって、
それは考えもしなかった診察結果だった。……否、心当たりはあった。

「これが、私の、赤ちゃん……」

エコー写真に写っている胎嚢を見て、涼子の顔から血の気が引いていく。
うれしいはずなのに、怖い。心の準備が、全く出来ていなかった。

(どうしよう……)

高三になったばかりの涼子にとって、母親になるのはあまりにも早すぎた。



投稿日 : 2010 11/06 23:10 投稿者 : 致良

妊娠10週目 午前中

「ッ、うっ……ゲホッ、ゴホッ……」
「涼子、本当に大丈夫なの? 無理しないで保健室に行こうよ」

妊娠したとの自覚があったからか、容赦なくツワリが涼子に襲ってくる。
今日も学校で急に気分が悪くなって、トイレに駆け込んで吐こうとした。

「うん……深呼吸、すれば、よくなる、から……」

中間テストが近いこの時期は、そもそもストレスが溜まりやすいもの。
うまく誤魔化せば、実はツワリだった事がばれないと、涼子は思った。

(ばれたら、赤ちゃんが殺されちゃう……そんなの嫌……)

中絶させられたくない。母親として、それだけはさせない。
この秘密を抱えていこうと、お腹をさすりながら涼子は誓った。



投稿日 : 2010 04/17 13:47 投稿者 : オロエイト

妊娠11週6日 放課後

「涼子……その話、本当の本当なんだな?」
「……うん」

もうすぐ4ヶ月になる、小さな小さな新しい命。
世間にはばれないようにしているが、せめて彼だけ、
赤ちゃんの父親だけにでも知らせておきたいと、
涼子は勇気を振り絞って、小さく頷いた。

「そうか、できてしまったのか……涼子」
「……」

真剣になる彼氏の顔の前に、涼子は俯いて沈黙した。
まるで審判の結果を待っているかのように、体が震える。

「結婚しよう」

――涼子の頬に、暖かい湧き水が一気にこぼれ落ちた。



投稿日 : 2010 04/17 21:19 投稿者 : 無明

「おい、泣くなって。そりゃ、俺だって仕事の問題とか色々あるけどさ、親父の会社で働いて、んで家も借りて、それで、ええっと……
 とにかくだ!俺はちゃんとやる、やってみせるさ!!」

彼の頼もしい言葉を聞いて、涼子の涙はさらに量を増した。

「ありがと……私……付き合ってよかった……」

その日は二人、連れ添って帰った。
家族公認の仲である二人なら、二人寄り添って歩くことなど何も言われない。

妊娠12週3日 午前10時

日曜日。
今日は彼と会う約束をして、駅前にいる。
少しゆったりめの、イエローのワンピース。
こっそり買っておいた服で、彼を待つ。
5分も待たぬうちに、彼が向こうからやってきた。
会うときはいつも着ている黒いシャツに青のジーパンだから、すぐに分かった。



投稿日 : 2010 04/21 22:22 投稿者 : オロエイト

彼となら怖くないと、涼子は区役所に母子手帳をもらった。
その中に挟まれていた割引クーポンのような受診券を使って、
プレママとしての初めての妊婦検診を受けると、二人は決めた。

同日 午前11時半頃

約一ヶ月前に受胎宣告された産婦人科の前に来た涼子。
ここら辺では日曜日でも営業しているのがここしかないので、
自動ドアの中は大きなお腹を抱えている女性の姿が何人もいた。

「……すごく、混んでいるね……」
「どうする? 一度出直そうか?」

彼が心配していることは、恐らく涼子と同じだろう。
もしかして、今ドアの向こうにいる妊婦さんの中に、
二人どちらかの家族の誰かと面識があるかもしれない。
つまり、ばれる可能性も格段と高くなってしまう――

「ううん、多分いつ来ても同じだと思う……どうしよう……」



投稿日 : 2010 05/03 19:18 投稿者 : オロエイト

妊娠13週1日 夜

「はぁ……」

――結局、うやむやなままで時間だけが過ぎていった。
空白のままの母子手帳を閉じて、涼子から嘆きが漏れる。

まだ早いとは言え、いつかはお腹が大きくなってくる。
いつかは両親に白状しなければ。いつかは――

「どうしたの涼子、何も食べないと勉強に集中できないよ?」
「い、いま行くから……ぁ、やばっ……」

突然、『涼子の部屋』と書いているドアの向こうから母親の声がした。
悪事をしたかのように、手帳を机に隠し、敏感的に反応した涼子だが……

「……っ、ぅっ……げほ、っ……」

まさかのこのタイミングで、つわりの吐き気が涼子に襲い掛かった。
まるで、お腹に宿した命がその存在を示したいかのように。

「涼子? どうしたの?」
「な、なんでもないからー! ちょっとむせただけー」

涼子はとっさに嘘をついた。赤ちゃんを守るために。

しかし――

「っ、ぁ……あ、れ……?」

そもそも、胎児のせいでホルモンバランスの崩れる妊娠初期だ。
限界に来た涼子は急に目の前が暗くなり、部屋の中で倒れた。

「涼子……? 涼子!?」

――救急車のサイレンが、静かな住宅区にこだまする。



投稿日 : 2010 05/03 20:35 投稿者 : ゆうり

「涼子、大丈夫か?」

涼子がきづいたのは病院のベットだった。

彼が心配そうに話しかけてきた。

みわたすと母親も父親、妹もいた。

「私・・・。」

「貧血で倒れたのよ。なんで妊娠してたことだまってたの!」

母親がため息交じりに言った。



投稿日 : 2010 05/04 01:58 投稿者 : 無明

「え……」
「お医者様から聞いたわよ……」
母が真剣な面持ちで問い詰めてくる。
「だって……きっとお母さんやお父さんが聞いたらおろせって……」
そういった途端、両親が同時に怒鳴った。
「そんなこと言う訳ないでしょ!!」
「そんなこと言う訳ないだろ!!」
さらに母は半泣きになりながら続ける。
「涼子ちゃん……あなたが……どう…やって…産まれたか……言ったでしょ!それに……私たちはいつでもあなたの思いを尊重しているでしょ?」
そうだった。
私の両親も学生結婚だったのだ。
それでも、私を育ててきてくれたのだ。
「だから……良く考えて決めなさい。再来月まで待ってあげるから。それに君も……覚悟はしておきなさい。決して、楽じゃないぞ。」
父もぎりぎりまで待ってくれると言った。
「お姉ちゃん、頑張って!!なんかあたしが伯母さんってのは実感わかないけどさ。」
妹だって応援してくれている。
涼子は、家族の優しさにこの上ない感謝をした。



投稿日 : 2010 05/08 22:04 投稿者 : 無明

妊娠14週0日 朝
今日は学校を休んだ。
母が休ませたのだ。
母は自らの経験から色々配慮してくれているし、彼も今日のぶんのノートを全部取ってくると言っていた。
涼子は一人、自分の胎内に眠る生命に話しかける。
「聞こえてる?あなたがやってきたのは突然、本っ当に突然だったけど、みんな、みんなあなたのことを待ってるの。だから、元気に生まれてきてね。」
母がくれた本などによれば、まだ五感は発達していないらしい。
でも、きっと聞こえたはずだと涼子は思った。



投稿日 : 2010 05/10 10:52 投稿者 : オロエイト

妊娠14週5日 午後 女子ソフトボール部部室

「えぇ!? あの噂、本当だったの?」
「本当に本当? 涼子ちゃんのお腹に、赤ちゃんが…?」

涼子の口からの思わぬ自白に、部員たちがどよどよとざわめく。

「……うん。あ、でも、マネージャーの仕事はまだまだいけるから」

ツワリが改善しており、彼に支えられて家族の支持も得た今、
涼子にとってもはや妊娠を秘密にするメリットはどこにもなかった。

「おめでとー!」
「元気な赤ちゃんを産んでね!」

「みんな、ありがとう……私、頑張るから」

心温まる部活仲間たちの祝福をも受け、今の涼子はまさに幸せの真っ最中。

しかし、涼子は知らなかった。初めてだから、知る筈がなかった。
『妊娠』という名の幸せな病気が、ここからが本番だということを――



投稿日 : 2010 05/11 18:08 投稿者 : 無明

妊娠15週3日 午後 教室にて

「知ってる?空木さん学校休学するらしいよ?」
「なんで?」
「親戚の人が重病で看病しなきゃいけないらしいよ……」
その日はそんな噂が飛び交っていた。
休学した後しばらく親戚の家で暮す、というのがどうも間違って伝わったらしい。
「空木さん!また戻ってくるよね?」
涼子はきっと、必ずとだけ返し、そそくさとその場を後にした。
安定期に入り次第学校を休む手はずになっている。
ソフトボール部のみならず、クラスの友人達まで祝福してくれた。
先生方にはこっぴどく叱られたが、最後には折れた。
心無い中傷も多少はあったが、それで心が折れるほど今の涼子は弱くはなかった。
不安な一方で、涼子の心も着実に成長しているのだ。



投稿日 : 2010 05/14 11:49 投稿者 : オロエイト

妊娠15週6日 夕方 彼の実家

「ただいま、えっと、お、お義母さん・・・」
「あらあらおかえり~」

少し照れていながらも、目の前の暢気な女性に帰りの挨拶をする涼子。

住み慣れた場所から離れ、涼子は彼の田舎の実家で世話になる事となった。
入籍自体は彼が卒業するまで待たないといけないが、気分は既に新妻。

「もうすぐご飯だけど、用意手伝ってくれる~?」
「は、はい! もちろんです!」

家事の経験がほとんど無い涼子は、腕前は家庭科で学んだ程度でしかなかった。
その為、緩い笑顔で常に穏やかな彼の母親は、これ以上無い頼もしき味方だ。

お腹の子供の為にも、早く「母親」に生まれ変わらないと、涼子は思う。



投稿日 : 2010 05/14 11:51 投稿者 : オロエイト

妊娠16週5日 午前中 田舎の産婦人科

「――ほら、元気に手足を動いてますよ」
「わぁ・・・・・・」

モニターに目を釘付け、涼子は開いた口を閉じれなかった。
5ヶ月に入って、手足が見分けるようになるのは本で予習したけど、
いざ胎内でふよふよしてる我が子を目にすると、頭が真っ白になる。

「そろそろ空木さんも、赤ちゃん感じれるようになりますよ」
「ほ、ホント?」

エコーだけじゃなく、自分の感覚で胎児の存在を確かめたいのは、
初めて命を宿した妊婦の誰もが通る道らしいと、先生は微笑んだ。

(『胎動』、かぁ・・・・・・一体どんな感じなんだろう・・・・・・)

いろんな想像を膨らみ、涼子は大きな期待を抱くのと同時に、
赤ちゃんがママに挨拶してくれる日を待ち遠しく待っていた。



投稿日 : 2010 05/17 00:13 投稿者 : 無明

妊娠17週0日 午前中 彼の実家

涼子の待ち望んでいた「それ」は、案外早くやってきた。
休日である今日は、彼と他愛の無い会話をしていた。
「それでね、文ちゃんが学園祭のチケットとプログラムとっといてくれたから、これたら来てほしいって。」
「学園祭って秋だろ?もうその頃にはだいぶ大きくなってるんじゃないのか?
 今だって目立ってきてるんだし、行ったら行ったで先生方や嫌味な連中に何言われるかわかったもんじゃないぞ。」
彼は彼女の腹部に少し目をやりながら言う。
「そんなこと関係ないよ。それに赤ちゃんだって、学園祭行きたいよね?」
彼へのあてつけのように、少しいたずらっぽく涼子は問いかけた。
すると、彼女の胎内でぴくりと何かが動いた感触があった。
「あ………」
「どうした?」
何かに驚いたような涼子の表情に、彼はほんのちょっと不安になって問いかける。
「動いたよ……赤ちゃん!」
「へ?」
間の抜けた声をあげる彼に涼子は、その喜びを噛みしめるようにもう一度言った。
「赤ちゃんが動いた!たっくん!!」
りょうkもは嬉しさのあまり彼に抱きついていた。



投稿日 : 2010 05/17 08:32 投稿者 : オロエイト

妊娠17週6日 夜 風呂の脱衣所

「どうしてだろう・・・」

初めて感じた胎動から、約一週間も過ぎていったにもかかわらず、
あの時から、なぜか二度とあんなにハッキリと感じれなかった。

「やはり、あれは錯覚なのかな・・・期待しすぎたばかりで・・・」

脱衣所の鏡と向かい合って、涼子は小さくため息を落とす。
鏡の自分のお腹は、ほっこりと膨らんでいる。中に赤ちゃんがいるから。
いっぱい話しかけたい、遊びたい。なのに、なのに、どうして――

「ねぇ、どうして・・・もしかして、ママの事、キライになったの?」

その時だった。ぷくりと、涼子の内から何かがざわめいた。

「!!」

『胎動』――あの時よりも強く、そしてくっきりと感じるこの異物感。
まるで、赤ちゃんが鬱に落ち込む寸前の自分を励ますかのように・・・

「・・・そうね、バカだよね私・・・そんなの、あるはずないのに」

涼子の頬に水が流れた。溢れんばかりの、安堵感と嬉しさと共に。

「ありがとう、私の赤ちゃん・・・これからも、よろしくね・・・」



投稿日 : 2010 05/18 00:18 投稿者 : 無明

妊娠18週4日 午後 彼の実家にて

呼び鈴が鳴った。
誰だろうと応対に出る。

「ごめんください。涼子ちゃんいますか?」
「え、文ちゃん?」
「うん。チケットの話と。様子見。みんな心配してんだよ。それと、愛しの旦那様はいる?」
「え、いるけど……」
「実を言うとからかいに来てたりなんかして!」
「もう!文ちゃんは!」

とりあえず彼を呼んで、友達が来たことを知らせる。
かれはぼやきながらも玄関に足を運んだ。

「おいおい……仲いいのはわかるけどさ。よりによってお前かよ……」
「へへん、別にいいでしょ?」

彼はよく文のからかいの対象にされているのだ。

「それにしても、もうこんなに大きくなったんだねぇ……服の上からでもバレバレだよ。あと、今何ヶ月だっけ?」
「ん~、たしか5ヶ月で、もうすぐ6ヶ月。もう赤ちゃん動くんだよ?」
「え、それホント!?触っていい!?」
「赤ちゃん、私のお友達だよ。」
「はじめまして。文です!よろしく!……あ、ホントに動いた!!」

先日の事があってからか、涼子はやたら幸せそうにしている。
その一方で彼――拓海は、自らの責任について考えていた。
自分は、涼子の未来を奪ってしまったのではないかと。
だが、その悩みも、文の発した何気ない一言と、それに対する涼子の返答で少しばかり光明が見えたような、そんな気がした。
「んでさ、涼子、今幸せ?」
涼子は少し間をおき、
「……………そうだなぁ……ソフトボールの全国とか、色々やりたかった事もあるけど、今はこのことたっくんがいれば幸せかな?」
この一言で拓海はハッとした。
自分の悩みも最もだが、当事者である涼子が幸せだと言っているのだ。
自分が幸せにしてやらんでどうする。
彼は、再び決意を固めた。

「うわぁ、まったストレートに言うねぇ。旦那様もこんなに可愛い彼女持って鼻高々じゃない!」
「急に話を振ってくるなよ……あとその旦那様って呼び方はやめてくれ。こっぱずかしい……」
「じゃあパパ!」
「やめろ!!」
「アハハハハ!顔真っ赤だ!!」
だんだん反論しているのが馬鹿らしくなってきて、拓海も釣られて笑い始めた。
明明後日はソフトボール部の大会前最終練習なので、是非とも涼子に練習を見に来て欲しい、とのことだった。
涼子は当然二つ返事で快諾し、そのままなし崩し的に拓海もついていくことになった。



投稿日 : 2010 05/27 14:17 投稿者 : オロエイト

妊娠19週0日 朝 駅前のバス停

「よいしょ、っと」
「転ばないように気を付けろよ」

お腹に左手を添え、涼子はバスから軽くステップ踏んで降りた。

「へーき。パパったら、心配性ね」
「……だからその呼び方はやめろって」

来週から6ヶ月とは言え、年的にはまだ遊びたがりの女子高生さ。

「あー、何か懐かしいな、この町」
「そうか? 毎日歩く道だからそんな気はなかったが」

ほんの数週間しか帰ってこないのに、この辺りはもう懐かしく感じる涼子。
商店街の新発売とか飲食店の期間限定とか、気が付けばいろいろと気になる。

「約束の時間までまだあるし・・・もう少し回ってからいこうかな?」
「じゃ本物のマタニティ見に行こうか。ワンピースじゃそろそろ限界だろ?」
「ホント!? さすがパパ、太っ腹ね!」
「・・・もう好きに呼んでくれ」

ふらふらしながら、二人は約束の時間までプチデート気分を堪能した。



投稿日 : 2010 05/28 19:41 投稿者 : 無明

同日 正午 学校にて

そして時間が近づき、学校の方へと歩を進める。
ほんの数週間前まで通っていた通学路を通り、門をくぐる。
すると、後輩たちが次々と駆け寄ってきた。
「先輩!」
「お久しぶりです!」
次々とやってくる後輩に対し、涼子は笑顔で答えた。
「いや、ほんと急にこういう事になっちゃってごめんね。それでも、みんななら全国行けるって信じてるよ。」
とたんにザワザワと周りが騒がしくなる。
だが、そこに聞きなれた教師の声が響くやいなや、後輩たちは皆グランドの方へと戻っていった。


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ベンチに座って、練習を見る。
少し前までならば、自分はグラウンドの端でせわしなく動き回っていた。
だが、今そこにいるのは、見知った顔の後輩だ。
がんばってるなぁ。
そんなことを思いつつ上の空の涼子であった。
と、その後輩が突然手を止めてこちらにやってきた。

「空木先輩。」
「ん、何?」
「良かったら一緒にお昼どうです?」
後輩からの突然の申し出に涼子は少々戸惑ったが、全国前に皆に会える最後のチャンスだからと言う事で参加することにした。



投稿日 : 2010 05/30 20:10 投稿者 : オロエイト

同日 午後 食堂

「あー食った食った」
「涼子、なんといっても食べすぎでは・・・」
テーブルの上に、お皿が山のように並んでいた。その数ざっと10個以上。
「だって二人分の栄養を食べなくちゃね」
「そ、そーなのか・・・」
後輩はもちろん、さすがの文も引いていた様子。

「それに私、そもそも太らない体質だし、って、いたたた」
突然、涼子はハンマーに叩かれたかのような腹痛を感じた。
「涼子!?」
「まさか!?」
「は、早く誰か救急車を!」
お腹を押さえる涼子を見て、文も後輩達も大パニック。
「そ、そんな…ダメよ、まだ出てきちゃダメーー!」
場の空気に釣られて、涼子もパニックに落ちた。



その後、救急車に搬送された先の病院で、涼子は小一時間ほど叱られた。

もちろん、あの痛みはただの食べすぎによる腹痛であった。



投稿日 : 2010 05/31 22:55 投稿者 : 無明

同日 夜 彼の実家にて

『あなたは他人に迷惑ばっかりかけて!!う……うう…』
「あ……うん……ごめん…………なさい………」
電話の向こうで泣きじゃくる母に対して、涼子はただ謝ることしかできなかった。
調子こいて食べ過ぎて、そんなので病院に運ばれた。
はたから見ればただの笑い話だが、今は自分ひとりのからだではない上、周りにも心配をかけ続けているのだ。
そして母に気を付けるよう言われ電話を終えると、その場でため息を付いてつぶやいた。
「もっとしっかりしなきゃ……私……」
「電話、終わったか?」
拓海がいつの間にか、後ろに立っていた。
「たっくん……」
「お前も気を、つけろよな。」
それ以上の言葉はいらなかった。
涼子はそのまま、拓海の胸に飛び込んだ。



投稿日 : 2010 06/17 10:17 投稿者 : こ肉

妊娠20週目 産婦人科診療室

「うーむ」
エコーを見て、先生は難しい顔をした。
「どうしましたか?」
涼子はドキドキする。
「異常と判断するほどではないが、胎児がやや大きいですね。
経験則ですが、少なくともプラス1か2週分ぐらいはありますね」
「ということは?」
「結論出すのはまだ早いので、もう少し観察しましょう」
「・・・はい」
ごくりと唾を飲み、涼子はモニターと自分のお腹と交互に視線を落とす。
エコーで見られているとわかるのか、胎児が激しく鼓動してる気がした。



投稿日 : 2010 06/17 10:42 投稿者 : こ肉

妊娠21週6日 涼子の自室

「~こっちきてこっちきて、ポンポンポン♪」
ダブルベットに腰をかけ、『楽しいキックゲーム~胎教のススメ~』という
タイトルの本に目を通しながら、書いている手順に沿って実践している涼子。
(うごうご)
「おおっ? きてるきてる! すごいね!」
返事を帰してくるたびに大喜んではしゃぎ、赤ちゃんをほめる。
「はい、次はこっちね、ポンポン♪」
そしてまたお腹のどこかを軽く叩く。これを繰り返す。

「・・・・・・」
そんな楽しそうな涼子を見ている拓海。少し不機嫌そうだ。
どうも赤ちゃんはパパがキライらしく、最近涼子を抱こうとしたら
激しい胎動で『近寄るな』と、精一杯の嫌がらせをしてくるからだ。



投稿日 : 2010 06/20 20:54 投稿者 : 無明

「はぁ~……」
お茶を片手にわざとらしく大きな溜息をつくと、案の定涼子がよってきた。
そしてそのまま言葉を発した。
「そりゃエッチしたりなんかしたら赤ちゃんびっくりするじゃない。」
「!!!!!」
飲みかけたお茶を吹き出しそうになった拓海だが、なんとかこらえた。
「色々書いてるよ?少しならいいけど、やりすぎは流産につながるって……」
確固たる論拠を出されてはどうしようも無い。
だが、涼子はさらに話を続けた。
「でもね、赤ちゃんだって嫌っちゃいないと思うよ?」
そして手を引っ張って、ふくらんだ腹へと当てさせた。
すると、それに応えるような生命のうごめきがはっきりと感じ取れた。
「ほら。こんなふうに!」

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妊娠23週 病院にて

「ふむ……やっぱりちょっと大きいかな?でもこのくらいは誤差とも言える。心配することはないですよ?
骨格のバランスやお母さんの体重も適正ですから、よほど気を使ってるんですね。」
医者に褒められ、涼子は頭をかく。
「い、いや、それほどでも……」



投稿日 : 2010 06/27 20:29 投稿者 : こ肉

謙虚な対応をしたが、涼子は心底嬉しさを隠せなかった。

「~♪」
鼻歌交じりで病院から出た涼子は、年相応の少女のように愛らしかった。
さすがにお腹のせいで走り回ることはできなかったが、頭の中はもうお花畑だ。
全ては順調、後は赤ちゃんを産んで、拓海と末永くいつまでもラブラブ♪
幸せの渦に飲み込まれながら、涼子はお腹を突き出して帰り道を歩き続けた。

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妊娠24週 深夜

「ゴーーーーーール!! やった、やった!!!」
国の代表チームの快勝に、時間を忘れてテレビの前で大興奮する涼子。
赤ちゃんもへそのを通して、アドレナリンの影響でお腹の中で大暴れ。
「えぃ、えぃ、おー」
そんな事全く気にせずに勝ち鬨をあげる涼子であったが、
(ズキッ!)
「お、おおお!?ちょ、いた、いたたた……た、拓海!!!」
気が付いてらお腹が急に、攣ったような痛みが走った。



投稿日 : 2010 06/27 23:39 投稿者 : 無明

「あたたたたた………」
おっかなびっくり、仰天した拓海はすぐに涼子を救急病院まで連れていった。
もしかしたら、このまま……
悪い想像が頭をよぎる。
だが、その結果はあまりにもありがちで、あっけないものだった。
「体の動かし過ぎと胎児の興奮しすぎですね……サッカー見てたでしょ?」
ちょっとノリの軽い先生にそう言われて、涼子は恥ずかしさで真っ赤になった。

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妊娠25週 昼 ショッピングモール

妊婦だって適度な運動が必要、ということでプールに行くために水着を買うことにした。
だが、なかなかいいものが見つからないのだ。
「ねぇたっくん、どうする?」



投稿日 : 2010 07/02 23:23 投稿者 : こ肉


「どうするって、何でこんな下着みたいのばっかりなんだ」
どうやら拓海は、ビキニのことを水着だと認めてないようだ。
「だって、そうじゃないとお腹に負担が・・・」
「でもさぁ・・・」

「ワンピースに見えるタイプもありますよ」
喧嘩しそうな二人を止めたのは、店員さんだった。
「ずいぶん大きいお腹ね? 8、9ヶ月辺り?」
「25週です」
えっへんとどや顔をして、涼子はお腹を店員さんに自慢した。
「じゃまたまた大きくなりますね。だったらこんな水着もおすすめしますよ」
一瞬驚いた表情をしたが、店員はすぐ営業スマイルに戻った。

(8ヶ月だなんで・・・そんなに大きく見えるのかな?)
涼子の心に、一つ疑問を浮かび始めた。



投稿日 : 2010 07/03 01:24 投稿者 : 無明

思い切って、店員さんに聞いてみた。
「そんなに大きく見えます?お医者さんからはちょっと大きいぐらいって聞いてるんで……」
店員さんは少しの間逡巡し、
「そうねぇ、あなた結構背が低いから大きく見えるのかも。」
確かに自分はチビである。
拓海が180以上あるため、凸凹カップル呼ばわりされていたのもいい思い出だ。
それで納得して、とりあえず勧められた水着を全部買った。
一度だけじゃないのだから、着替えが何着かあってもいいだろう。
鼻歌交じりで涼子は帰宅した。
今度の検診の次の日ぐらいに、行こう。

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妊娠26週1日 海岸にて

「どうしてこうなった………」
「なにが?泳ぎに来るのは予定通りじゃん。」
「いや、だってお前プールじゃ……」
「マタニティースイミングの申し込みしてないんだもん。仕方ないよ。」
そんな言い合いをつづけながらも、腕を組んで仲良く砂浜を歩く二人。
ここらへんで泳ごうか、と水中に足を踏み入れる。
するとちょっと離れた辺りから、それはとても綺麗な背泳ぎのフォームで妊婦さんが一人、泳いできた。



投稿日 : 2010 07/03 08:54 投稿者 : こ肉

プレママ仲間として話しかけてみると、なんとその人は
妊娠をきっかけで女子ソフトボールから引退した元選手であった。

運悪く強豪校に負かされた涼子の学校の試合も見に行っていたらしく、
涼子がそのチームの元マネージャーであることにビックリしている。

そして涼子も、彼女のボディーラインに驚嘆していた。
自分とは正反対に、妊娠週数よりお腹が小さく見えるからだ。
引き締まった腹筋は出産時にも役に立つらしいので、色々学ぶために
涼子は目の前の先輩ママと連絡方法を交換し、ママ友になった。

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妊娠27週 隣県の某駅前広場にで

「あ、来た来た、涼子さん、こっちこっち」
知らない場所の知らない駅から出た涼子を迎えに、
先週知り合った先輩ママさんが声を上げた。
「へー、この子が・・・」
「ちょっと、まだ子供では?」
(ざわ・・・ざわ・・・)
「皆さんはじめまして、空木涼子と申します!現在妊娠27週です!」
噂されていたけど、涼子は元気よく挨拶をした。
今日は、ママ友たちのオフ会のようなイベントだ。



投稿日 : 2010 07/03 16:49 投稿者 : 無明

最初のうちこそざわついていたものの、案外すぐに納得したのか収まった。
「まぁ、事情なんて気にする必要はないわよ。あくまでこれは妊婦さん、ママさん同士で仲良くなろう、って集まりだし。」
一通り自己紹介を皆が終えたあとは談笑だが、やはり涼子のお腹は大きく見えるらしい。
「双子かしら?」
「あ、いえ、違います。」
「ふぅん、お腹の出方は人それぞれだからあんまり気にすることないかもね。」
先輩ママたちはやはり経験豊富で、涼子の知らないことも色々と教えてくれた。



投稿日 : 2010 07/04 16:33 投稿者 : こ肉

妊娠28週 昼下がり 実家の居間

「よっこらしょっ・・・ふぅ」
重い体をソファーに落とし、涼子はテレビをつけた。
最近の涼子は、テレビの料理番組にはまっている。
「・・・おお、きてるきてる」
と言うより、はまっているのは実は赤ちゃんの方だ。
「だめよ、ちゃんと野菜もすきにならなくちゃ」
肉の時に反応があって、野菜の時は動かない。
このように、好き嫌いは胎動で教えてくれるのだ。

「今晩は野菜たっぷり食わせてあげるからね」
これも胎教の一環、と言っても良いのだろうか。
涼子にとっては、珍しく平和な午後だった。



投稿日 : 2010 07/05 00:04 投稿者 : 無明

「そろそろお昼ご飯作るかな……」
はたと思い立って、とりあえず冷蔵庫の中を覗く。
あまり中身の詰まっていない冷蔵庫には、ほうれん草に卵、魚肉ソーセージぐらいしかなかった。
「むむぅ……足りないかも……」
妊娠してからというもの、とにかくお腹が空く。
文字通り2人前を平らげていることも多い。
その一方で、栄養バランスにはそれなりに気を使っている。
「まぁ、いいや!」
冷蔵庫にあるだけのほうれん草と卵を使って、オムレツを作ることにした。

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「ふぅ、食った食った。」
食事を平らげ、しばし横になる。
と、その時、赤ん坊が動いた。
「肉ばっか欲しがってちゃダメでしょうに。もう……」
ポコポコと不満そうに動く赤ん坊をなだめるように、涼子はお腹をさすり、やがてそのままソファーで眠った。



投稿日 : 2010 07/11 22:19 投稿者 : JBL

妊娠29週6日 風呂場

「ららら~」
拓海と相談して、ベッドインしながら
記念すべき30週を迎えることに決意した。
そのために今、涼子は念入りに体を清めている。



投稿日 : 2010 07/12 00:41 投稿者 : 無明

「シャワー長すぎだろ……」
さっそく拓海につっこまれた。
「念入りにやりたいからいいの!!」



投稿日 : 2010 07/24 23:17 投稿者 : 無明

そしてそうこうしているうちに日付が変わってしまった。
やらかした!と涼子は思いつつも、風呂から上がってそのままベッドに直行した。
あとは拓海が来るのを待つだけだ。
涼子は未だ嘗て無いドキドキを感じていた。



投稿日 : 2010 07/24 23:34 投稿者 : ぷに丸

産まれるベビのために大きく成長した乳房と黒く広がった乳輪。
その左のふくらみの奥にあるハートが今、ドキドキと早く鼓動する。
お腹の赤ちゃんの鼓動はもとっと早いのかなぁと思いつつ、
ベッドの中で母乳のためのマッサージを施し、待つ。
拓海。
あの日のことはまだ、昨日のことのよう。
でも、私のお腹がそれが近い過去ではないことを示している。
いろいろとあったけど、私はここまでお腹を大きく、
赤ちゃんをちゃんと成長させることができた。
でも、私はこれから、ママになる。
ママになると、もっときついのかな。
たいへんだろうな。
でも、赤ちゃんのために、拓海とがんばるの。
そう思いながら、手はいつの間にかお腹をなでていた。
大きなお腹の先にある脚を、少しばかりしくっと閉じて。



投稿日 : 2010 08/10 23:59 投稿者 : JBL

31週 夜中

「うーん、うーん・・・」
眠れない。
主に胎動が激しくて眠れない。
「あたたた・・・」
子宮の様子もおかしい。
いつもより張ってくる気がする。
「もしかして・・・」
ある可能性を想像する。
「いや、早とちりはもうしない、みんなに迷惑かけない」
想像するのをやめた。
きっと明日にもなれば治る。
「・・・いーこ、いーこ・・・」
張っている硬いお腹を撫で回す。
少し楽になった気がした。
「あと8週だから・・・ガンバレ、私・・・」
やはり痛いかも。
でも早く眠らないと。



投稿日 : 2010 08/11 00:34 投稿者 : 無明

翌朝

なんとか張りは収まったけど、そのせいで猛烈な寝不足だ。
寝ぼけた頭でほんを調べてみると、どうもおなかの張りは昨夜の運動し過ぎから着ているみたい。
あとはいつものように朝食を作って、洗濯物干して、あとは当分のんびり。
そんなことを考えていると、不意にブラジャーの胸の部分が濡れている事に気がついた。
「あ……!!たっくん!!おっぱいでた!!!」
思わず大きな声が出る。
でも、ねぼすけな拓海にはちょっとうるさかったみたい。
「もう少し寝かせろ」と小さな声で抗議があった。
私は小さな幸せに、ますます嬉しくなった。
鼻歌が漏れる。
ああ、なんて幸せなんだろう。



投稿日 : 2010 08/11 08:24 投稿者 : JBL

32週 産婦人科

「困りましたな」
「どうしましたか、先生?」
いつものように終わった検診だが、先生の表情がおかしい。
涼子は、何か異常が見つかったかと伺った。
「胎児自体はこれといっての異常が見当たらないだが・・・」
先生の口が開く。

「すこし、予定日より出産が前倒しになるかもしれない」



投稿日 : 2010 08/16 01:11 投稿者 : 無明

「いや、早産の危険とか母体の問題とかじゃなくて、君は結構生理不順気味だったそうじゃないか。
 だから、赤ちゃんが大きいのももしかしたら最終月経の計算ミスかな、と。で、その分出産も前倒しになると。」
医師の一言にほっとした。
「お腹の大きさなんて個人差が激しいし、よほど極端でない限りは赤ちゃんの大きさにはつながりませんよ。」
あとの検診も無事に終え、涼子は帰路についた。


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妊娠33週 朝
目覚めが悪い。
拓海との愛の結晶といえど、ここまで大きくなれば多大な負担を強いる。
動きづらいし、寝苦しい。
「おはよ……拓海……」
もうすでに起きていた拓海に声をかける。
今日はゴロゴロしたい。



投稿日 : 2010 08/23 19:52 投稿者 : JBL

妊娠34週目 朝

相変わらず目覚めが悪い。ていうか、ほぼ一睡もできていない。
「はぁ・・・」
そして何よりも、その原因をはっきりと分かっているのが辛い。

「やっとおねんね?・・・おやすみなさい」
お腹を叩いて、遊びつかれて熟睡している赤ちゃんに話しかける。
「・・・はぁ」
そして明るくなって来た窓の外を見て、再び嘆きをする。

これでもう三日目。
完全に夜型になっている赤ちゃんに悩まされる私。
でも、辛いのは赤ちゃんも一緒だと思う。
きっと、もうすぐ本番だから緊張してるのよね・・・私も、赤ちゃんも。

――妊娠記録(プレママカルテ)篇・完
出産記録(アクティブバース)篇へ続く



            続編:とある母親の出産記録(アクティブバース)


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