一部、読みやすさを考慮し、改行を入れさせて頂いた部分がございます。(熊猫)
一部、明らかなミスタイプがございますが、そのままにしてあります。(熊猫)
投稿日 : 2011/01/10 01:16 投稿者 : 無明 (立てさせていただきます。一応これで最終章にしてみたいかな?) ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 前回の出産から5年。 次女の牡丹は、5歳の平均身長より2回りばかり大きな身体にそだった。 来年からは、牡丹だって小学生なのだからお金は掛けたくない。 そのこともがんが得、ボクも旦那も避妊はきっちりしていた。 なのに、なのに。 「おもいっきり線でてる……」 スティックに入る赤いライン。 おまけに、生理は来ない。 気分も悪い。 間違いなく、よりによってこんな時に。 妊娠、してしまったのだ。 「どうだい、今の気分は?」 落ち込んでいるボクの目の前に現れる子鬼。 「最悪だよ……おろすなんて考えたくないし。でもお金が危険だし……」 「安心してよ。こっちは運命操作なんてお手のもんなんだから。そういうわけで、安心して妊婦さんやってね。 今回もいつもどおり予定日までいかせてもらうよ。んじゃ」 3つの人魂を引き連れた子鬼は、ボクが視線を下げた瞬間に消えた。 そしてその翌日、意を決して医者の診断を受けると…… 「1,2,3。3つ見えますね……おめでとうございます。3ヶ月目の後半ですよ。」 3つ子。 ん? 子鬼は、今回も予定日までって言ってたよね…… もつの? 早産云々もそうだし、第一ボクのお腹がもつの? 不安を抱えながら自宅へ帰ると、旦那からメールがあった。 『昇進決定!なんとこの地域の支社長!いやもう夢みたいだ!!』 お金の不安は、無くなりそうかな? 投稿日 : 2011 01/11 02:34 投稿者 : 致良 「あっ、今赤ちゃんたちが動いた」 妊娠が告知されてから二週間後のとある昼下がり。 たかが4ヶ月目前半に入ったばかりにもかかわらず、 早くも腹部のあたりがもぞもぞっと感じてしまった。 「ほんと?ほんと?」 「触らせてー」 赤ちゃんが動いたと聞いて、ボクに群がるフブキとコユキ。 9歳になった二人は、牡丹がまだボクのお腹の中にいた頃と違って、 『ママが妊娠してる』ことをハッキリと認識してた。 「おませさんたちね、まだ外からじゃ判らないよ?」 「えー」「けちー」 「はいはい、あと2ヶ月経ったら触らせてやるからね」 二人をあやしつつ、ボクはお茶を口にして天井を見上げた。 しかし、中に3人もいるせいか、やけに早かったんだな。 4ヶ月で胎動、か・・・ ボクの子宮、3人の胎児にとってもう狭くなってたのかな・・・ こりゃ、後期がやばそうだ・・・ 投稿日 : 2011 01/11 07:56 投稿者 : 無明 旦那には今回の妊娠のこともしっかり告げておいた。 旦那は喜んでくれたし、お金は任せろ、とまで言ってくれた。 そして、着実に周りの準備が整う内に、気づけば6ヶ月。 牡丹も含め、子供たちはボクのお腹に興味津々だ。 不安だった流早産についても、医者で対策は受けたし、何より子鬼の言葉がある。 それでも不安はあるので、6ヶ月なのに、臨月くらいありそうなお腹を抱え、ボクはリビングでゆっくりしていた。 胎動はますます活発になって、子宮からボクの体のあちこちを蹴ってくる。 投稿日 : 2011 01/11 09:15 投稿者 : 致良 「懐かしいな、フブキとコユキの頃もこうだったよね・・・」 お腹に胎児が複数いると、胎動もそれだけ倍増しちゃう。 当然、元々一人用のはずの子宮はその分無理に伸ばされて、 力強く蹴られたら『動いた』だけじゃ済ませない場合もある。 これがまた何とも言えないな感触で、正直、癖になりそう。 旦那も、フブキもコユキも、もうすぐお姉ちゃんになる牡丹も、 みんなボクの大事な宝物。女として生まれて、ボクは幸せ者だ。 「・・・あら、もんこんな時間?」 胎動に夢中でふと気付いたら、時計は午後2時を指していた。 そろそろ、牡丹のおやつとみんなの晩ごはんの用意をしないと。 「よっこらっしょ、と」 (ズキッ!) 「あれ、何かお腹が・・・ったた、やだ、なにこれ・・・」 立ち上がってキッチンに向かおうとした、その時だった。 ボクのお腹に、体験したこと無い妙な疼きが、ほとばしった。 胎動の『幸せ痛み』でもないし、もちろん陣痛なんかでもない。 「うっ、あぐぅ・・・ぼ」 子供部屋にいる牡丹に助けを求めようと、 お腹を抱えて声を上げようとしたら―― 「ぼた、ん・・・」 ――意識が途切れて、ボクの目の前は真っ黒になった。 投稿日 : 2011 01/11 11:15 投稿者 : 無明 ―――安心しなよ。僕らは嘘をつかないから。 ぶっ倒れて、気づけば病院のベッドの上。 横には旦那にあきにお母さんに子供たち。 皆、僕を心配して来てくれたみたいだ。 結局、ただの張りと診断されたが、万一を考えて、その日の内に入院が決定した。 まだ慣れないけど、あの痛みは間違いない。 今度はどんな子たちなのやら。 ボクは期待を馳せつつ、ちょっと堅い病院のベッドで眠りこけた。 ――――――――――――――――――――――――――――――― 入院初日。 昨日の騒ぎが嘘のように、検診でも全くの健康体だった。 そのせいで双子の時も担当してくれた医師は、手術の日程については考えていないらしい。 そもそも手術を考えていないとか。 投稿日 : 2011 01/11 21:02 投稿者 : 致良 二ヶ月の入院生活は、楽あり苦ありとあっという間に過ぎていった。 病院暮らしは嫌い訳ではないけれど、我が家が恋しくなってしまう。 旦那と先生と相談して、退院してもらおうといろいろ試してみたが、 三つ子妊娠そのものがリスクの塊なもんなんで、許してもらえない。 あの小鬼の保障もあるし、ボクはリスクとか全然怖くないんだが・・・ それはさておき、少しボクのお腹に宿した三つ子の話をしよう。 こいつらはあたり前のように、元気よく力強く育っててくれた。 だけど、さすがに限界に達したとでもいうのか、 ボクのお腹は後期に入って二ヶ月経った割りに、あまり膨らんでいなかった。 8ヶ月後半現在、 胎盤併せて7キロ強もあった巨大児だった牡丹を妊娠していた頃と比べて、 おおよそ差が付かないぐらいだけだった。 小鬼の仕業か、それとも中にいる三つ子の思惑か。まあどちらにしろ、 育ちすぎてボクの子宮が耐え切れなかったら、元の子も無いからね。 投稿日 : 2011 01/11 22:13 投稿者 : 無明 一応、ノートPCの持ち込みは出来ているので言うほど退屈はしない。 それにボクのお腹も、主観的に見て小さいと感じるだけであって、周りからすれば立派すぎるサイズのようだ。 インターネットの画像なんか見ても、まぁこんなものか、と思えなくもない。 無知は恐ろしいものだと、改めて思い知った。 第一、ここの妊婦用患者服の下がそろそろ入らなさそうなのだから気づくべきだった。 子供たちは月に1~2回、見舞いに来てくれる。 喧嘩とかもあまりせずにいるようで、ボクとしては嬉しい限りだ。 健康状態は相変わらず太鼓判を押されているのと、長きに渡る直談判のおかげで、 外泊についても少し考えてもらえていることを聞けたのも、最近あった嬉しいことの一つだ。 でも、あくまで検討してもらえるだけであり、実際は無理だろう、とも言われた。 こればっかりはどうしようもない。 まあ、この子たちが生まれるまで、いまは頑張ろう。 ――――――――――――――――――――――――――――――― 35週。 気づけば、俗に言う9ヶ月。 3つ子では、めったに辿りつけない時期だ。 8ヶ月の時に、あまり大きくならない、と愚痴をこぼしていたボクのお腹は急成長を遂げた。 そのおかげでついに患者服の下が入らなくなった。 無論、その大きさのせいで動くのも億劫だ。 外泊なんて、出来るはずがない。 お腹が大きくなり、ボクの子宮も限界かと思っていたが、早産にはなりそうもないみたいだ。 だけど、お腹が張って張って仕方ない。 それもあって、ベッドから動きたくない。 横になっていれば、張りは割とすぐに収まるものだ。 結構早くからいるのもあって、いつの間にかこの病室の顔というかまとめ役というか、そんな感じになっている。 投稿日 : 2011 01/13 13:30 投稿者 : 致良 そして、遂に待ちに待った日、ボクの出産予定日がやってきた。 『かなり稀な例』と言われる、予定日まで辿りついた三つ子。 これぞ限界だろうと、もはや破裂寸前の風船のようなボクのお腹。 いよいよ今日で、どちらかと言うと大人しかった三つ子は出てくる。 実を言うと複雑な感情だ。出産は嫌でも、妊婦生活は楽しかった。 胎内にいる赤ちゃんと一緒に毎日を送っている、この楽しさも、今日で、終わる。 決着をつける。楽しいひと時の夢の終わり。 「・・・産まれそうね、ナースコール、お願い」 ――目に感傷の涙を浮かべながら、ボクは旦那に陣痛の到来を告げた。 投稿日 : 2011 01/13 14:19 投稿者 : 無明 とは言え、今日は満月。 出てきそうなのは、三つ子だけじゃない。 ボクのいる多胎児専用の病室も、ほぼ全てのベッドからナースコールが聞こえていた。 看護師が来るまで陣痛をやり過ごすため、ボクはベッドから降りた。 「そうだ。写真撮ろうよ。三つ子たちが出てくる前にさ。」 旦那は急にそんなことを言い出すと、デジカメを取り出して、ボクに向けた。 「良いかもね。それ。」 旦那にそういって、ボクは患者服を胸までまくり上げた。 パンパンに張り詰めた、妊娠線だらけのお腹があらわになる。 よくぞここまで大きくなったものだと、心から思う。 最初は、ボクも帝王切開を考えていたけれど、 ここまで健康体でいられたことや、赤ちゃんの大きさなどを見ても、下からで行けると医師に言われて、 7ヶ月頃にはすっかり乗り気になっていた。 旦那の無言の合図に微笑んで、写真を撮る。 まだ余裕がある。 ボクはベッドの縁に腰掛けて、旦那としばし談笑することにした。 「予定外の赤ちゃんだったけどさ、ボクはこれでも結構嬉しいもんなんだ。 だってさ、妊娠も出産も、女にしかできないことじゃない。 そりゃ、三つ子ともなったらいっつもお腹は張るし、胎動は激しいし、息は苦しいし、おしっこは我慢出来ないしで悪いことだらけだけどさ、 それでも、赤ちゃんをお腹の中で10ヶ月間はぐくんで、産むことが出来るって、ほんとうに凄いことなんだよ。」 「一発出して終わり、の男にはちょっとわからないなぁ……」 旦那は、少々戸惑い気味だ。 表情から、ボクが辛くないか、気分が悪かったりしないかと気遣っているのが見て取れる。 実際、しゃべりだしたのも半分ぐらいは辛さを紛らせるためだ。 破水もないし、まだまだ先なんだろうけど、ボクは無意識のうちに、いきみ始めていた。 投稿日 : 2011 01/17 21:29 投稿者 : 無明 いきみを逃したり、逃しきれなかったり。 いつの間にかボクはベッドに戻って、体勢を変えつつ陣痛に耐えていた。 しばらくすると、看護師がようやくやってきた。 が、ボクに告げたのは思いもよらぬ言葉だった。 「ごめんねぇ。今日帝切の患者さんが多くてねぇ。ちょっと陣痛室もあいてないの。」 え、それはつまり…… 「悪いんだけど、もしかしたら病室で産まなきゃいけないかも。」 投稿日 : 2011 01/18 00:59 投稿者 : ゆうり 「その代わり、三つ子なのでドクターが一人、付きっきりになりますので。」 そういうと入れ違いにいつも診察してくれる医者が入ってきた。 投稿日 : 2011 01/26 14:48 投稿者 : 無明 「まぁ、今はまだわからないんだ。破水していないようだし、まだ時間はかかるだろう。また陣痛が強くなったら言ってくれ。」 つきっきり、と言っていたがやはり人手が足りないらしい。 別の看護師に呼ばれ、ストレッチャー運びを手伝わされていた。 投稿日 : 2011 01/26 15:24 投稿者 : ゆうり しばらく旦那と談話をしていた和んでいたときだった。 「ぎゃあぁぁぁぁぁ!」 バシャッー 隣に入院していた麻奈さんが急に声をあげた。 確か麻奈さんは今回が初産で5つごだったみたいだけどまだ8ヶ月だったはず。 しかし麻奈さんの産着の下はびしょびしょに濡れていてどんどんシーツにまで濡れ始めてる。 破水したみたいだけど医者や看護師は来る気配がない。 「なんかでそぅぅぅぅう!」 たち膝のまま麻奈さんは息み出しちゃった。 投稿日 : 2011 01/30 14:41 投稿者 : 致良 「ボ」 鈍い音が立てて、麻奈さんからやや小さめな赤ちゃんが一気に産道を通過して、へその緒でぶら下がってきた。 まるで、卵を産んでいるかのような安産だった。 ――産声は、聞こえていない・・・ヤバイ―― 「っ!」 他人のことを心配できる状態ではないが、 同じ出産を臨んでいる以上、戦友であり横一線に立っているのだ。 ボクは、麻奈さんのためにナースコールを強く押した。 投稿日 : 2011 01/30 15:23 投稿者 : 無明 ナースコールの音が響き、一拍置いて小さな産声が聴こえる。 「よかった……」 そしてその音を聞きつけて、ドタドタと中年女性が一人駆けこんでくる。 さっきの看護師だ。 「諸沢さんどうし……ちょっとだれか!!もうあんたでいいから!!」 麻奈さんの様子をみるやいなや、彼女は近くにいた研修医を引っ張り、そのままふたりがかりで彼女を分娩室へと連れていった。 とうとうこれで、この病室に残っているのはボクと旦那だけになった。 麻奈さんが連れて行かれたのを見て緊張が緩んだのかもしれないが、陣痛が長く強くなってきた。 「ふー、ふぅー……うぅ~……」 陣痛は絶え間なくボクを襲うが、肝心の子宮は、三つ子をこれまで守ってきた強さをまだまだ発揮していた。 時たま医師が内心をしてくれるが、まだ5cmほどらしい。 投稿日 : 2011 01/30 21:30 投稿者 : ゆうり 「ゆき、大丈夫?」 「ゆき姉、どぉ?」 お母さんとあきがきた。 子供たちはみきとさきとりきがみているらしい。 投稿日 : 2011 02/03 02:07 投稿者 : 無明 お母さんとあきは励ましてくれるけど、今はまだなんとかなる。 それに、今は医師たちにとって見舞客は迷惑以外の何者でもないだろう。 二人に訳を言って病室から出てもらい、ボクはまたいきみ逃しを再開した。 本当は、辛そうな様子を見せたくないというのが大きいけど、とても面と向かっては言えない。 いくら二度の出産を経験したボクでも、陣痛の痛みというのは耐え難いものだ。 ゴロリと横になっていきみを逃す。 お腹に手を添えると、堅く張っていながらも、あまり動かなかった三つ子が活発に動くのがわかった。 「この子たちも、出たがっているのね……」 思わず口をついて、そんな言葉が出た。 旦那もきっとそうだ、と言ってくれた。 ボクは、後一日程でお別れしてしまう、このとてつもなく大きいお腹を、慈しむように撫で摩った。 最初は患者服越しに、途中からは患者服のホックを外して直に。 旦那もお腹に手をおいて、三つ子たちの動きを感じてくれているようだった。 投稿日 : 2011 02/04 16:07 投稿者 : 致良 トックン。胎児が動く。 ゴロゴロ。子宮が蠢く。 ズギーン。陣痛が来る。 幾度も繰り返す、命を生み出す踊りのステップ。 非常に遅めな三拍子のリズムを刻むかのように。 「あっ、次の波で本番に入るわ」 力強く旦那の手を握る。 「わかるの?」 やさしく握り返す旦那。 「母親の勘、でね」 旦那を見て微笑むボク。 そして、永遠に続くかと思わせたそのテンポが、ついに崩れた―― 投稿日 : 2011 02/04 17:17 投稿者 : 無明 ボクは次の陣痛に備えて、四つん這いの姿勢をとろうとした。 その時、何かが弾けた。 「あ」 ボクの中から溢れた液体がボクの股を濡らし、そのまま太ももを伝いシーツに染み込む。 破水だ。 とたんに陣痛は強まり、「いきみたい感じ」がボクを襲う。 旦那はボクの隣で見守っている。 体勢をなんとかして変えて、医師の到着を待った。 「うぅ~ん!」 声が漏れる。 リズムは切り替わり、まるで乱打されたドラムのように荒々しいものとなる。 自然といきみ、そのたびに胎児が産道を少しずつ進む。 だがボクの赤ちゃんは予想外に大きいようで、一回いきむにもかなり力が必要だった。 やがて医師もやってきて、様子を見てくれたが、今のボクにも、医師にも、切るという考えはなかった。 投稿日 : 2011 02/05 01:59 投稿者 : 致良 「はぁっんん~~~」 「来た、来たぞ!もう一息だ、ゆき!」 すでに何回も拡がれた産道を難なく押し開き、 三つ子の一人目は頭、否、肩まで一気に出た。 「はっ、はい……」 嬉しがっている旦那に軽く頷き、ボクは大きく息を吸う。 とても痛いのに、脳に暖かい光が満ちたような気がした。 幸せすぎで意識が飛んだ時と、案外似たような感覚だ。 投稿日 : 2011 02/05 02:39 投稿者 : 無明 「……っ………うぅぅぅぅぅぅぅううう!!!」 ずるり、と産道をすり抜けて、三つ子の一番上となる子が、産まれた。 次の子の出産に響くといけないため、医師が迅速にへその緒や胎盤の処置を行い、体重を測ってくれた。 「諸沢さん第一子、男子、3724gあります!」 三つ子とは思えない体重だ。 陣痛の収まった今のうちに横になり、三つ子の長男を抱かせてもらった。 産まれたばかりなのに、もうボクのおっぱいを探して手を動かしている。 初乳を飲ませると、とたんに子宮が収縮を始めた。 自然の摂理、動物としてのシステム。 ボクはわが子を再び看護師に預けると、いきんだ。 だが、今度の子はかなり奥のほうに陣取っているらしい。 いきめどもいきめども、なかなか進展がない。 投稿日 : 2011 02/05 16:26 投稿者 : 致良 さすがにおかしいと思われ、ボクは息みをやめさせ、一度内診を受けた。 そして、ボクも旦那も医師も信じられない驚くべき診断結果が出てきた。 進展がない原因は胎児の姿勢不正などでなく、ボクの産道にあったのだ。 一人目の胎盤剥離の刺激で、子宮口の付近に小さな腫れが出来上がった。 そのせいで産道が狭くなって、二人目の頭が出ようとしても出ないのだ。 投稿日 : 2011 02/05 18:29 投稿者 : 無明 医師曰く、稀によくあることでだそうで、腫れが引くまで、ボクはまたいきみ逃しをしなければならなくなった。 さっきと違うのは、陣痛も最大限に強くなっていること。 残っている子たちも、子宮が狭くなってきて苦しいのか暴れている。 「ふぅ~、ふぅぅ~~~~、うー、あー!」 旦那が腰をさすったりしてくれているけども、辛いものはやっぱり辛い。 (待ってて……あとちょっとだけ待ってて………) ボクはそう思いながら、必死にいきみ逃しを繰り返した。 どれだけ時間が過ぎただろうか。 いつの間にかとっくに夜だ。 何度目かの内診の末、ようやくいきんでいいと許可が降りた。 医師としては二人目を早く破水させたいため、胎胞が見えるくらいまで押し出して欲しいそうだ。 投稿日 : 2011 02/07 21:35 投稿者 : 無明 ボクは医師に従って、いきんだ。 何度も生んでいるからこそわかるが、破水していないとたしかに引っ掛かりが強い。 「………っっ~~~!!ぁ、はぁ、はあ………」 医師の判断を聞くまでもなく、もういちどいきむ。 子宮の中に押し留まっていた大きな塊が、いきむたびにどんどん進んでくる。 やがて、羊膜が見えてきたらしく、医師は器具でもってボクを破水させた。 二度目の破水にさらに陣痛が強まる。 ボクはただひたすら、いきんでは息をつぎ、またいきむという一連の動きを繰り返していた。 「ううううぅ~~~~ん!!っ、ぷはぁっ、ううんんんん~~~!!!」 旦那も声をかけてくれている。 「頭が見えてきましたよ!諸沢さん頑張って!!」 助産師の言葉を聞き、ボクは大きく息を吸って思い切りいきんだ。 「ううううううううううううううううううううううんんんんんあぁっ!!」 二人目の赤ちゃんはボクの産道をゆっくりと回転し、その回転を感じたボクがさらに力を入れるとゆっくりと頭を出し――― 投稿日 : 2011 03/28 16:13 投稿者 : 無明 今度の子は気が早い。 頭が見えて、身体が抜けた直後にはもう泣き出していた。 またしても手早くへその緒は処理され、体重を測ったあとすぐに、二人目の子がボクに預けられた。 3200gの女の子だ。 またしても普通サイズ。 全く以て大した身体の持ち主だね、ボクは。 3人目が出たがるまでに、何とかして体を休ませておかないと……… 冒頭でもお知らせいたしておりましたが、この先の投稿は取得日時の関係で取得できておりません。 |