一部、読みやすさを考慮し、改行を入れさせて頂いた部分がございます。(熊猫)
一部、明らかなミスタイプがございますが、そのままにしてあります。(熊猫)
投稿日 : 2010/11/28 22:17 投稿者 : 無名 ワケラレと同時進行ぐらいにやれたら面白いかなと思いまして。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ つい最近産まれたばかりだと思っていた双子はすでに三歳でやんちゃ盛りだ。 名前は、フブキとコユキだ。 最近まではよくリキが面倒を見てもらっていたけどもうすぐ旦那の転勤でここともお別れだ。 僕としてはここを離れたくないけど。 投稿日 : 2010 11/28 22:55 投稿者 : 致良 旦那の転勤先で始まった新生活は、なにもかも昔と違っていた。 慣れない街での買い物に子供たちの世話、心労に苦しむ日々だ。 家族が増えたこともあって、マンションが小さく見えてしまう。 「うぶっ」 喉からわきあがる反吐、嫌な感じだ。 これはストレスによるものではない。 ボクのお腹に赤ちゃんがいるからだ。 「・・・少し休むか」 二回目の妊娠だから、突然のつわりにもう普通に応対できる。 胎児が体を作る大事な時期だから、無理しないのがベストだ。 投稿日 : 2010 11/28 23:10 投稿者 : ゆうり 「ひさしぶり。どう?母親になった気分は?」 つい先日突如現れた子鬼。 子供が生まれたときが最後だから三年ぶりか。 「僕になんのよう?」 「先日の結婚記念日の初性交を祝ってプレゼントをお持ちしました、」 投稿日 : 2010 11/29 07:48 投稿者 : 致良 そう、すでに一回の妊娠出産経験があったにもかかわらず、 先日の結婚記念日は、ボクの『初性交記念日』でもあるのだ。 ボクは小鬼のイタズラ(?)によって女の体にされてしまったが、 肉体と言う器の中の『魂』、つまり中身の心は『男』なのである。 そして先日は、初めての『ボクの意識による』旦那との夜だった。 心まで女になった・・・とは違うが、抱かれて幸せを感じれた。 男だった前世に味わうことが出来なかった、女の幸せだった。 その幸せが今、ボクの中で形となって―― 投稿日 : 2010 11/29 08:15 投稿者 : ゆうり 病院へいくとやっぱり小鬼のいう通り妊娠していた。 今回は1人らしい。 双子の面倒も大変だし、早めに里帰りしよ。 そんなことを考えながら家に帰り、夜ご飯のしたくを始めた。 投稿日 : 2010 11/29 11:04 投稿者 : 致良 今回の妊娠は予想以上の順調で、何事無く5ヶ月目を迎えた。 昨日、珍しくあきから電話が来て、 三人目出産のために今度の日曜日に里帰りするってボクに伝えてくれた。 こっちは仕事が山場で手放せないので付き添うことが出来ないが、 二人も産んだあきなら、ボクが傍にいなくても大丈夫なんだろう。 それにしても今回、胎動遅いな。経産婦は早く感づくと言われたのに。 さらになぜかお腹があまり出てない。妊婦なのに。もう5ヶ月なのに。 三年前のお腹とかとっくに忘れたけど、5ヶ月ってこんなもんたっけ? やはり『今回お腹の中は一人だけ』だから? 謎だよね、ホントに・・・ 投稿日 : 2010 11/29 13:47 投稿者 : マツリ 気にしてもしょうがないため、電話をかけた。 「あき、そっちの様子はどう?」 僕は里帰りをしているあきに電話をしたのだ。 「う~ん、さきとみきが少し太ったくらいかなぁ?お母さんとお父さんたちがいないからなまけてたんじゃない?」 両親は今、父親の仕事の関係で海外へいっているのだ。 投稿日 : 2010 11/29 19:45 投稿者 : 致良 電話を切って、ボクは一旦横になって、両手を腹の上に置いた。 やはり感じれない胎動。今回の赤ちゃんは照れ屋さんらしいね。 「ねぇ赤ちゃん、聞こえるのなら少しママと話をしよう?」 三年ぐらい使って無いけど、ボクは胎児に話しかけてみた。 力が鈍っていなければ、何らかの返事が帰ってくるはずだ。 投稿日 : 2010 11/06 23:10 投稿者 : ゆうり ポコッ すると小さくではあるが胎動があった。 「そうそう。」 僕はお腹を撫でて声をかけた。 投稿日 : 2010 11/29 23:37 投稿者 : 致良 (うー、おかあしゃん・・・?) しばらくして、子宮の中から胎児の魂が眠そうな声で返事をしてくれた。 赤ちゃん訛りになっている。前世が赤ちゃんのままで死んだ子なのかな? 「そうよ、あなたのおかあさんよ」 お腹越してなでなでしてあげて、ボクはにこりと微笑んだ。 投稿日 : 2010 11/30 00:00 投稿者 : ゆうり 「こんじょはちゃんちょ、うまれちぇくりゅ?」 不安そうな赤ちゃんの声。 きっと生まれたかったんだろうな。 投稿日 : 2010 11/30 13:24 投稿者 : 無明 しばらくすると声は聞こえなくなった。 幸い暇も多いし、直々に妹の様子を見に行くのもありだろう。 ボクは旦那に聞いてみることにした。 投稿日 : 2010 11/30 15:05 投稿者 : ゆうり 「ただいま。」 夕御飯を作っている頃に旦那が帰ってきた。 「ただいまぁ。ふぶき、こゆき~。」 旦那は2人の子供たちを溺愛している。 投稿日 : 2010 12/01 15:00 投稿者 : 致良 水曜日。 今日は旦那が残業で帰ってこない。 軽く夕食を済まそうと、ボクは台所に立った。 「・・・・・・なんだろう、この妙に腑に落ちない感覚は」 なぜか胸がゾワゾワする。 原因不明だから、解決しようも出来ない。 「嫌なことが起きなければ良いけど・・・」 深呼吸をして、ボクは窓の外の空を見る。 それはそれはキレイに染まっている夕焼けだった。 投稿日 : 2010 12/01 16:03 投稿者 : ゆうり 夕御飯を食べ終え、ふとあきの顔が浮かんだ。 「何であきが頭から離れないんだろう?」 僕はお腹をさわりながら呟いた。 「ちょっと電話をしてみようかなぁ?」 投稿日 : 2010 12/01 18:19 投稿者 : 無明 「あ、お姉ちゃん?そろそろ生まれるから行ってくるね。」 あまりにあっさりと答えた我が妹のせいで、ボクは少々拍子抜けした。 「もう……不安になって電話して損したよ……」 しかしなんだこの妙な胸騒ぎは? それもあきではなく、みきとさきが心配になるような…… 投稿日 : 2010 12/01 19:57 投稿者 : ゆうり 「ちょっと帰ろっかなぁ?」 僕は軽く身支度を整えると旦那に手紙を残して双子を連れて駅へ向かった。 近くの駅へは事前に電話していたため、りきがきていた。 投稿日 : 2010 12/01 20:34 投稿者 : 致良 電車でも少し時間がかかる距離なので、 実家近くの駅に到着した今は、もう月が高く昇っている9時過ぎだった。 「あきの様子は?」 「いつもの病院は行ったけど、陣痛室が満員で・・・」 今日は良いお産の日らしく、自宅待機してといわれたあき。 もう三人目だし、あきなら陣痛に負けるはずが無いだろう。 「みきとさきは?」 「昼頃からなんか用事で出かけて、携帯も繋がらない」 「二人とも?」 「うん、一緒に出たよ」 「そう・・・」 みきとさきの話をしたら、また胸騒ぎが。 二人の身に、何があったのだろうか・・・ とにかく、今はあきのことを優先しよう。 ボクはりきと一緒に、実家の方へ急いだ。 投稿日 : 2010 12/01 21:34 投稿者 : ゆうり 「りぃ~きぃ、だっこぉ~。」 「やっぱ弟ほしかったなぁ。」 りきはふぶきにせがまれてだっこをした。 りきは唯一の男兄弟のため、ふぶきやゆたか、みのりを可愛がっている。 僕の家にしょっちゅう逃げていたため、ふぶきの面倒をよくみてくれる。 りきは進学で今の僕の家の近くの大学へ決まったらしい。 投稿日 : 2010 12/01 23:58 投稿者 : Honey 「これからも一緒だよ。」 「いっちょ!いっちょ!」 ふぶきは嬉しそうだった。 「そろそろ家だ。」 「ママ、はやくぅ?」 こゆきはニコニコしながらいった。 投稿日 : 2010 12/02 00:31 投稿者 : 致良 (おかぁしゃん!) 「っ、あら?」 実家までの最後の曲がり角を曲がろうとしたとき、 突然お腹の中にいる赤ちゃんがボクを呼んだ。 「ゆき姉ちゃん?」 「今この子蹴ってた・・・」 「胎動かぁ~いいな、男の身が悔しいな」 「・・・っ・・・」 ボクは分かる、これはりきが言っている『ただの胎動』じゃない。 これは、赤ちゃんが、ボクに、何かを、伝えようとしている・・・? 投稿日 : 2010 12/02 08:11 投稿者 : ゆうり 「何かあったのかなぁ?りき、早くいこう。」 「うん。」 僕たちは急いで家にいった。 「ついた。」 ガチャ 「ただいまぁ。」 何かリビングが騒がしい。 投稿日 : 2010 12/02 11:07 投稿者 : 致良 「って、あき!?」 りきと一緒に玄関に入ったら、陣痛に苦しんでいるあきの姿がいた。 床の上で足を大きく広げているし・・・まさか、ここで産むつもり!? 「ゆ、ゆき姉ちゃん!?」 「こ、ここはお任せしますわ!」 そして反応する間もなく、さきはフブキとコユキをボクたちからさらって、 みのりとゆたかを連れているみきと共に、二階への階段を駆け上がった。 やれやれ、こんな大事な時なのに、妹の二人ときたら・・・ 二人は何がしたいのかはわからないけれど、今はあきのほうが先だ。 ボクはあきの足元側に向かって、出産の進行状況を確認した―― 投稿日 : 2010 12/02 12:37 投稿者 : ゆうり 「まだ8センチ。息んだらダメだよ。」 僕は子宮口を確認して言った。 「はぁ、はぁ、なんで、きたの・・・っ?」 あきは不思議そうにいった。 投稿日 : 2010 12/02 13:01 投稿者 : 致良 「この子が、教えてくれたの」 ボクは、自分のお腹にあきの手を当てさせようとした。 しかし―― 「あっ、いたい、急に、お腹がっ、あああーー!?」 ボクのお腹に触らせようとされたとたんに、 突然あきの陣痛が一気にヒートアップした。 「あき!? っう、こ、これは・・・いったい・・・」 そして同時に、ボクも腹部に胎動じゃない奇妙な鈍痛を感じた。 まるで、お腹の赤ちゃんが、あきを拒否しているかのように―― 投稿日 : 2010 12/02 15:42 投稿者 : Honey 「ゆき姉、大丈夫?」 「なんとか、なんだったんだろう?」 心配して駆け寄ってきたりきに苦笑いをしながら言った。 あきは陣痛がヒートアップしただけで張りもかわっていない。 ほんとになんだったんだろう? 投稿日 : 2010 12/02 19:24 投稿者 : 無明 そうこうしているうちに隆也さんもやってきたので、 ボクはみきとさきに子供たちを返してもらうつもりで2階に向かった。 案外あやし方も慣れているようで、危険とは思わなかったが、立ち居振る舞いに何かの違和感を感じた。 投稿日 : 2010 12/02 20:37 投稿者 : ゆうり 「ゆ、ゆき姉。」 「どうかされました?」 2人は明らかに動揺している。 「ただちょっと気になって。2人ともなにか僕に隠してない?」 率直に聞いてみた。 投稿日 : 2010 12/03 07:54 投稿者 : 致良 なんか怪しいとは思ったけど、みきとさきは ボクを騙すようなことはしないと思っている。 もし、二人にボクに言えない何か秘密でもあれば、 それは知らされない方が良いと判断したのだろう。 結局、ボクはフブキとコユキを取り返しただけで、一階へ戻った。 ついでにみのりとゆたかをあきの出産が終わるまで二人に託した。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「ゆき姉、大変だ!」 階段を降りた途端、そこには情けないりきが立っていた。 「どうしたの?」 「あき姉から、あ、あ、あかちゃんの頭が!」 「な、なんだってーー!?」 りきの話によると、どうやらあきが急に排臨に入ったらしい。 そんな、ついさっき8センチしか開いていないのに・・・!? 投稿日 : 2010 12/03 09:48 投稿者 : ゆうり 「あき、大丈夫?」 すぐにあきのもとにいくとあきは太ももをつかみ思いっきり息んでいた。 投稿日 : 2010 12/03 10:29 投稿者 : 致良 「んんんーーー!!!」 二階まで聞こえそうな大声を上げ、あきは全力でいきんだ。 さすがに二回も出産したことがあって、要領を知っている。 このいきみで、なんと赤ちゃんは一気に肩まで排出された。 「りき! 台所からお湯持ってきて、赤ちゃん出ちゃうわよ!」 「は、はい!」 さすがの大安産にボクも驚いたが、取り乱しちゃいけない。 この現場で一番年上の長女(あきとは双子だけど)としても、 約4ヵ月後に出産を控えている、三年ぶりの妊婦としても。 「あっ、出るっ」 「あき!?」 一呼吸、と言えるほど、ボクがりきに指示を出したその刹那だった。 「おぎゃー、おぎゃー」 体を反らすあきの『出るっ』の拍子抜けた声と共に、 あきの三人目の赤ちゃんが産道から床に滑り落ちた。 力強く産声を上げて、五体満足で元気な赤ちゃんだ。 しかし―― 投稿日 : 2010 12/03 12:57 投稿者 : ゆうり さっきよりも胸騒ぎが大きくなった。 「あき姉ちゃんおめでと~。」 「おめでと~。男の子?女の子?」 みきとさきがやってきた。 投稿日 : 2010 12/03 15:22 投稿者 : 無明 「違うの・・・・・・もう一人・・・もう一人いる・・・・・・」 あきはそういうと再びいきみはじめた。 自宅での双子出産なんて聞いたことがない。 不安がさらに広がる。 投稿日 : 2010 12/03 15:46 投稿者 : ゆうり 「りき、確か赤ちゃんお風呂にいれたことあったよね?」 「う、うん。」 「この子産湯にお願いね。」 「うん、わかった。」 りきは産まれたばかりの赤ちゃんをつれていった。 ちなみに赤ちゃんはまた男の子みたいだ。 胎盤が出ないってことは一卵性みたいね。 投稿日 : 2010 12/03 16:22 投稿者 : 無明 救急車が来るまでもつかなんてわからない。 ここでの出産も考えて、妹たちに出来るだけの用意をさせた。 隆也さんも帰ってきて、あきは少しばかり励まされたようだ。 投稿日 : 2010 12/03 19:40 投稿者 : ゆうり あきはもう息み始めてるし。 数回息むと赤ちゃんの頭ではなくお尻が出てきてしまったのだ。 投稿日 : 2010 12/03 20:58 投稿者 : 致良 さすがに産道が広がっているのか、 逆子でもスムーズにぽとりと落ちてきて、救急車の到着と共に生まれてきた。 「「いやああああああああ」」 産まれた赤ちゃんを見て、みきとさきは同時に悲鳴をあげた。 なぜなら、逆子だったあき姉ちゃんの赤ちゃんは―― ――生まれる前に命を失った、ただの肉の塊であった。 「うそ・・・」 「なんで・・・」 死産された赤ちゃんにショックされ、みきとさきの目の前が暗くなった。 投稿日 : 2010 12/03 21:20 投稿者 : ゆうり 「ぉ姉ちゃ・・・。」 さすがのあきも動揺を隠せないみたい。 「しょうがないよ。あきは悪くないよ。」 あきは、そのまま死んだ赤ちゃんのへその緒が繋がったまま一人目の男の子の赤ちゃんを抱いた隆也さんと救急車で運ばれていった。 みきとさきはあとからきた救急車にのせられていった。 投稿日 : 2010 12/04 00:00 投稿者 : 無明 2ヶ月後。 ボクのお腹に宿った生命は、まるで死んだ子の代わりのように大きくなった。 平均よりもはるかに大きく、まるで臨月のようなお腹だ。 一人なのに、前より動くのが辛い。 だけど切開はゴメンだ。 このこを、ちゃんと産んであげたいから。 そして同じころ、みきとさきの妊娠も発覚した。 投稿日 : 2010 12/04 00:38 投稿者 : ゆうり 今はこってり怒ったから部屋で反省している。 「ふぅ?」 「お疲れ。」 まだこっちにいるあきはソファーに座った僕にお茶をもってきてくれた。 「母さんたちがいない分ほっときすぎたのかな?」 妹たちと離れて暮らしたのがいけなかったと思う。 妊娠後期でマタニティブルーも伴って余計に落ち込む。 投稿日 : 2010 12/04 01:01 投稿者 : 無明 あきもまた妊娠したのだ。 あまり負担をかけさせるわけにはいかない。 あきは今度こそ産んでやりたいと、本気だ。 うちも賑やかになるのはいいことだが、少しお金が不安だ。 さらに落ち込むボク。 投稿日 : 2010 12/04 01:19 投稿者 : ゆうり まぁ、母さんたちにいってあるから仕送りは増えるだろうけど。 あきと僕の旦那もたまにきを使ってきてくれるし、 卒業間近のりきもアルバイトしてくれてるからなんとかなるとおもうけど。 投稿日 : 2010 12/04 14:29 投稿者 : 無明 だが悩みは尽きない。 もう動くのも億劫なのだ。 落ち込んでても仕方ないので、とりあえずTVでも観ることにした。 投稿日 : 2010 12/04 23:31 投稿者 : ゆうり 「ただいまぁ?」 しばらくしてリキや子供たちが帰ってきた。 「あれ? あの二人のお説教もう終わったの? ふぶきが眠ったから帰ってきたんだけど。」 リキは帰りに眠ってしまったというふぶきを抱っこしながら言った。 投稿日 : 2010 12/05 11:59 投稿者 : 無明 「それじゃ、ボクそろそろ帰るね。二人とも寝ちゃったし。」 リキにそう告げて、自宅に帰る。 2時間かけて帰ってみたら、珍しく旦那が家にいた。 「お帰り。大丈夫だった?」 投稿日 : 2010 12/05 12:40 投稿者 : ゆうり 「まぁ、みきもさきもこれからが大変ってことがまだわかってないみたい。」 苦笑いをして答える。 「早めに里帰りする?みきちゃんやさきちゃん、初産だし相手いないんだよね?」 旦那は義妹たちを心配してくれてるらしい。 投稿日 : 2010 12/05 15:20 投稿者 : 致良 「どうせ出産予定日まで産まれないから、早めに帰ってもしょうがないし」 単胎なのに巨大なお腹に両手を置いて、ボクは旦那に答えた。 「予定日まで産まれない?どうしてそんなに確定できるんだ?」 「・・・・・・女の勘よ」 「そうか。ゆきって、昔から霊感が強いからね」 旦那は小鬼のことは知らないし、説明しても無駄だろう。 勘で片付けるのは一番手っ取り早いのだ。 それにしても、8ヶ月寸前なのに、 胎児が大きすぎて本当にお腹が張って張って、苦しくてしょうがない。 そしてその割りに胎動が案外少なかったり、 水風船でも孕んでいるかと思わせるほどだ。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「じゃ、いってくるね」 「待合室で待ってるからな」 いよいよ、胎児の性別がわかるかもしれない8ヶ月検診だ。 病院の待合室に旦那を置いて、ボクは診療室に入ろうとした。 その時だった。 「うっ!?」 でかくて重くて歩くのも辛いお腹が、急に―― 投稿日 : 2010 12/05 16:08 投稿者 : 無明 見かねた看護師さんが、すぐに診察室まで運んでくれた。 すばらくベッドで横になったら張りは収まった。 すぐにエコーを当てられ、胎児の性別判定や大きさの測定が始まる。 今回はなんと、性別がわかった。 「女の子……ですねぇ。羊水も適正で心拍も問題ないので、大丈夫ですよ。 ただ、大きいからお母さんのほうの負担が大きいかもしれないので、無理な運動とかしないように心がけてください。」 この大きさで羊水過多でないというのに驚きだ。 「一応、念のために張り止めを出しておきます。」 そしてヨタヨタと診察室から出た。 投稿日 : 2010 12/05 22:38 投稿者 : ゆうり 「ゆきさん、大丈夫だった?」 旦那が心配そうにいった。 「うん。大丈夫。ちょっと張りが酷かっただけ。」 投稿日 : 2010 12/06 00:59 投稿者 : 無明 旦那に心配されつつもなんとか帰宅し、ソファーにごろ寝。 あと2ケ月あるからさらに大きくなるのだろう。 自分の体ながら、まいど感心する。 「っ!全く、お母さんをもうちょっと大事にしてよ・・・・・・」 今度の子は、あまり動かないのに動いたらそれは強烈なものだ。 足の力だけでボクをおもらしさせるのだから、大したものだと思う。 そして胎動のあとには張りがくる。 たまったものではない。 億劫なわりに、動こうとすればけっこう行けるものだ。 近所の八百屋さんにでも買い物に行こう。 近所に同僚がいないせいで、ボクもこのあたりじゃ割と有名だし、八百屋さんは特に気に入ってくれている。 それもそのはず。 ここの店主、前世の弟だからだ。 投稿日 : 2010 12/06 01:05 投稿者 : ゆうり 「いらっしゃい、ゆきさん!」 いつものように八百屋さんは威勢がいいなぁ。 「今日は何がお得?」 いつものようにお買い得な商品を聞く。 そしてお買い得な商品を買って献立を決めるのだ。 八百屋とかの荷物は重いからりきが早くこっちに来てくれると助かるけどみきとさきだけではあっちが心配だ。 投稿日 : 2010 12/06 01:15 投稿者 : 無明 懐かしい家族が元気なのは嬉しい事だ。 ボクはいろいろ買い込み、帰ろうとした。 その時、八百屋の奥さんに呼び止められた。 彼女はボクの大事なママ友だ。 投稿日 : 2010 12/06 01:22 投稿者 : ゆうり 前世の僕の弟の娘だ。 今では僕より年上だけど。 「荷物、大変でしょ。少し手伝うわ。」 彼女は重い荷物をいつも手伝ってくれる。 投稿日 : 2010 12/06 12:42 投稿者 : 無明 「すいません。いつもながら。」 いいのよ、と言って袋を持ってくれた。 「しっかし、一人でもそこまで大きくなるものねぇ。」 ボクのお腹に興味津々なようだ。 投稿日 : 2010 12/06 14:59 投稿者 : ゆうり 「なんか知らないうちに大きくなっちゃって。」 僕は苦笑いをしながらこたえるしかない。 「やっぱり帝王切開で生むの?」 投稿日 : 2010 12/06 18:03 投稿者 : 無明 「んー。そりゃそのほうが安全なんだろうけど、なんていうか、それだと『産んだ』って気がしないと思って。 だから、出来るならこの子も自然で産みたいなぁ……」 そう答えて、いろんなコトを喋りながら家に向かう。 「なんだったら、今日は家で食べていきます?」 「そうだねぇ……上の子はお泊りだし、いけるわね。」 奥さんも妊娠中で予定日が近い。 投稿日 : 2010 12/06 18:36 投稿者 : Honey 「今日は旦那、飲み会らしいからうるさい双子だけだけどね。」 ちょうど僕と入れ替わりで旦那は飲み会にいった。 奥さんが双子をみていてくれたからその間に料理をつくっていた。 投稿日 : 2010 12/06 20:22 投稿者 : 無明 それなりの出来の料理を二人で食べる。 ボクは和食が得意だが、彼女は洋食が得意だ。 お互いいい勉強になったりもする。 「で、今確か8ヶ月だっけ?まだ大きくなるんだからすごいねぇ。」 「その話題3度目ですよ?」 投稿日 : 2010 12/06 20:30 投稿者 : ゆうり 「そうでしたね。なんかゆきさんといると他人じゃないみたい。」 奥さんはニコニコしていった。 まぁ、前世の僕の姪だしな。 「ふぶきちゃんもこゆきちゃんもかわいいし、羨ましいわ。」 投稿日 : 2010 12/06 20:44 投稿者 : 無明 「結構疲れるんですよ。これでも。特に今回は張って張って。」 「そんなこと言えるのも今のうちよ。大きくなったら言ってられないから。」 色々話を聞きながら、食事を終えてしばらく談笑。 そうこうしているうちに旦那が帰ってきた。 投稿日 : 2010 12/06 21:10 投稿者 : ゆうり 「ただいまぁ。あ、八百屋さんの旦那さんも奥さん迎えにきたよ。」 少し顔の赤い旦那はお酒を飲むととても陽気だ。 だから小鬼にいいように扱われるのだと最近よくおもう。 投稿日 : 2010 12/06 21:23 投稿者 : 無明 そして奥さんが帰ってからは夫婦だけの時間。 なんだかんだ言って、2年も暮らしていると好きになれるものだ。 だからといって、男に媚びる方法は知らないけども。 旦那はまるで子供のようなところがある。 そのくせ妙に男らしい時もあるから、気になるのだ。 ほろよいでボクの胸に顔をうずめてくる姿はだらしないの一言だけど。 投稿日 : 2010 12/07 00:13 投稿者 : ゆうり 「パパ何ちてりゅの?」 「どうちたの?」 ふぶきとこゆきが起きてきたみたいだ。 さっきまで夕食を食べてから2人は仲良く寝てたけど。 投稿日 : 2010 12/07 12:17 投稿者 : 無明 「パパも眠たいの。早くねんねしましょ。」 双子の寝付きがいいのが何よりだ。 なぜならボクは、お腹が重くてかなり寝苦しい。 旦那と同じベッドで寝たほうが、体を動かせるだけ楽だ。 旦那には迷惑だけど。 投稿日 : 2010 12/07 12:32 投稿者 : ゆうり 「はいはい。パパはシャワーを浴びてくるからちょっと待ってて。」 旦那はシャワーを浴びにいった。 「ママもねりゅ?」 「いっちょにねんね?」 投稿日 : 2010 12/07 23:03 投稿者 : 無明 「そうだね。ねんねしようか。」 結局布団をしいて、へべれけの旦那も寝かせてみんなで寝た。 なんだかんだ言って、今の人生も気に入っている。 前世の弟も元気だったし、悪いことはないや。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 9ヶ月。 三人目に会えるまで後一ヶ月。 だけど、ボクはもうそろそろ限界だ。 張るし重いし動きづらいし、おまけに胸まで2カップ上がって肩がこる。 たまにはマタニティじゃない服を着ようと思って出してきた服を着てみたら問題発生。 脱げなくなった! 投稿日 : 2010 12/07 23:23 投稿者 : ゆうり 今日はりきは大学の泊まり込み、旦那も出張という日に限って。 服はきれてはいるから母親に助けを求めに双子を連れて家に向かった。 投稿日 : 2010 12/07 23:58 投稿者 : 無明 母に事情を話すと近所中に聞こえそうな大声で笑われた。 全く。こっちだって恥ずかしいんだよ? おまけに今日はノーブラだし。 「あのね……プッ……それ高校の時のよね……プフッ……なんで今更……」 「たまたま出てきたんだから仕方ないでしょ……」 後ろじゃ妹二人が大笑いだ。 もう腹がたつのを通り越して呆れてきた。 投稿日 : 2010 12/08 01:03 投稿者 : ゆうり 「もうあと一週間で里帰りだから来る予定なかったのに~。」 「でもその格好じゃ帰ってきたら襲われるんじゃない?」 「たしかに。」 みきとさきは大笑いだった。 投稿日 : 2010 12/08 12:42 投稿者 : 無明 「ゆき姉、また胸大きくなった?」 みきが尋ねる。 「そうだよ。重くて肩がこって仕方ない。お腹だけでもかなりきついのにさ。」 投稿日 : 2010 12/08 15:35 投稿者 : ゆうり 「よくそのお腹で双子の面倒みれたよね。」 「大変そう。」 みきとさきは感心している。 「まぁ、手はあんまりかからない子達だから。」 ふぶきとこゆきはあまり手がかからないというか大人しい。 投稿日 : 2010 12/08 16:02 投稿者 : 無明 双子は母に面倒を見てもらっている。 それにしても、このお腹は双子の時より大きいのではないだろうか? 妹二人は興味津々にボクのお腹を触っている。 「今回は大人しい赤ちゃんですわね。」 「ほんと、あんまり動かないね。」 投稿日 : 2010 12/08 16:35 投稿者 : ゆうり 「二人のこどもはどうなの?」 「よく動くよ。」 「うん。よく蹴ってくる。」 みきとさきはニコニコしながら言った。 投稿日 : 2010 12/08 20:50 投稿者 : 無明 その後二人とたわいない話をして、結局そのまま家に帰った。 旦那はボクの格好に驚いている一方で、あっさりと解決法を示してくれた。 「もうその服古いんだろ?じゃあさ、裾からはさみで切っちゃえばいいじゃん。」 投稿日 : 2010 12/08 22:00 投稿者 : ゆうり 「あ、それいい考え。」 僕はさっさと切った。 「やっと自由になった。」 伸びをしてくつろぐ僕はほとんど裸のようなものだ。 投稿日 : 2010 12/08 22:40 投稿者 : 無明 おっぱいはむき出しだし、ショーツも脱いだ。 鏡で見ればわかる話だが、ボクはもともと均整のとれた体つきらしい。 色は黒いほうだが、旦那は健康的でいい、と言ってくれる。 その体型を、今はこの胸とお腹が崩している。 でも、悪い気はしない。 不思議な充実感がある。 ソファーからよいしょ、と立ち上がると、そのまま家事をこなす。 「裸エプロン」で旦那を誘惑するのもありかもしれない。 そんなことを考えながら、ボクはスケジュールを立てていた。 ボクの一番ののぞみ。 そう、『自宅出産』の――― 投稿日 : 2010 12/08 22:45 投稿者 : ゆうり さすがにこの家では何かあった時に助産師を呼べないため、実家で自宅出産の予定だ。 投稿日 : 2010 12/09 19:23 投稿者 : 無明 風呂上り、バスタオル一丁でだらけていると、たまたま旦那が水を持ってきた。 子供たちは寝てるし、今が話すチャンスだ。 「この子のことなんだけどさ、家で産んでみたい。無論うちの実家だけど。」 「え、家でいいじゃん。近くに産婦人科あるよ?」 全然気づかなかった。 「双子はお義母さんに預かってもらえばいいしさ。ここでいいじゃん。俺もついてる。」 投稿日 : 2010 12/09 20:18 投稿者 : ゆうり 「みきとさきも心配だから。」 「そうだな。初めての出産じゃみきちゃんもさきちゃんも不安だし、しょうがない。」 旦那は渋々了承した。 そして一週間がたち、実家に帰る。 投稿日 : 2010 12/18 20:46 投稿者 : 致良 「さて、と……っ」 長くない日数を経て、いよいよ明日がボクの『二人目の出産予定日』だ。 「っ……ふぅ」 大きいお腹をさすり、恐らく初期の陣痛だろうと思わせる痛みを治める。 今回も一日早く陣痛が来ていたらしいが、どうもどこかがおかしい。 前回と違ってそんなに痛くない……二回目だから、慣れていただけ? 「まあ……痛くないならそれはそれで良いし、体力を温存しよう」 明日を備え、ボクは部屋の電気を消した。 出産の時を知っている。これだけでも心が強すぎる。 「小鬼に感謝しないとね……あら?」 (ママ、ママ) 寝ようと思ったら、お腹の中の赤ちゃんから声が。 気になって、ボクはその声に集中して耳を傾けた―― 投稿日 : 2010 12/18 23:51 投稿者 : 無明 ママならできるよ。 そうとだけ聞こえると、それっきり黙ってしまった。 「なんだったんだろう?」 そういえば妹も臨月だっけか。 まあいいや。 考えてもわからないので、結局そのまま眠ってしまった。 投稿日 : 2010 12/19 00:03 投稿者 : ゆうり 朝起きたら初期の陣痛も感じなかった。 「あら?陣痛おさまっちゃったの?」 僕はお腹を擦りながら赤ん坊にきいた。 投稿日 : 2010 12/19 01:22 投稿者 : 致良 しかし、いつもと違って赤ちゃんは何も語ってくれなかった。 「うーん、やはりおかしいな……」 痛くもないのに何度も何度もお腹をさすり続け、朝が過ぎた。 今日が出産予定日なのに、ここまで陣痛が弱いだなんで…… ------------------------------- 「おかえりー、二人とも大変でしょ、臨月の身で」 昼、朝から用事があって出かけたみきとさきが帰ってきた。 「……心配して損した」 「全くですわ。てっきりもう限界かと思ってましたのに」 残念そうな表情をする二人。 顔が合った途端そんな顔はないだろう? 「あのね……」 「だって今日はなんか様子が変だったし」 「そうそう。だから早く帰ってきたの」 そうか、二人も二人なりに、心配してくれたのか…… 妹っていいよなぁと、今一度実感したよ。 「まぁ、今日中じゃない?」 ボクは二人の心配を取り除こうと、楽天的な口調をした。 (『今日』は残り半日弱だ。そろそろ陣痛強くなるかな?) そう思いながら、ボクはもう一度お腹をさすった。 そしたら―― 投稿日 : 2010 12/19 01:47 投稿者 : 無明 「……」 「どうしたの、ゆき姉?」 全く、うちの妹はどうしてこうも勘が鋭い時があるのやら。 来た。 本物の陣痛だ。 「用意して。」 「えっ?」 「とっとと用意して。本当に産まれるかも。」 投稿日 : 2010 12/19 01:50 投稿者 : ゆうり バシャッー その時股から生暖かい液体がボクの太股をつたい、水溜まりを作った。 もう破水しちゃった。 投稿日 : 2010 12/19 01:57 投稿者 : 無明 破水した? いいや、ちがう。 服のポケットに入れておいたペットボトルの蓋が空いていたらしい。 「もう、脅かさないでよ。」 「用意と言っても何をすればいいのか……」 「とりあえずお湯沸かして。後タオルも。」 不思議とボクは落ち着いていた。 とはいえ、徐々に陣痛が強まるのも、また事実。 さて、まだまだ始まったばかりだ。 投稿日 : 2010 12/19 02:06 投稿者 : ゆうり 「まぁま~。」 「どうちたのぉ?」 コユキとフブキがちょうどやって来た。 「ママ、これから赤ちゃん産むから大人しく部屋でお昼寝しようね?」 ミキがコユキとフブキと寝室へいった。 ボクはタオルをひいてくれたリビングの床にソファーを背もたれにして座った。 そしてパンツを脱いであることに気づいた。 「やっぱり・・・破水もしてたかも。」 陣痛はまだ始まったばかりなのに股間から羊水がでてきてる。 投稿日 : 2010 12/21 01:25 投稿者 : 無明 「ふー。ふー……」 実に落ち着き払って呼吸法をしつつ、ボクは周りの様子を見た。 妹二人はちゃんと用意してくれているし、時間的に母も帰ってくる頃だろう。 あとは旦那が到着すれば、それで終わりかな? 投稿日 : 2010 12/21 08:38 投稿者 : ゆうり 「ただいまぁ~。」 「お邪魔します!ゆきさん!」 あ、りきと旦那がきた。 ボクの予定日だからくるっていってたし、うちの家に下宿しているりきもきてくれたんだ。 投稿日 : 2010 12/24 21:41 投稿者 : 無明 「りき!ゆき姉に声をかける暇があったら手伝って!いろいろ手が足りないの!」 その後ゴタゴタしつつも順調に進んでいき、母が帰ってくる頃にはかなりの陣痛になっていた。 だが、これはまだまだ序の口。 ボクは改めて、気を引き締めた。 投稿日 : 2010 12/24 23:23 投稿者 : ゆうり ピンポン 「こんにちは。」 助産師さんがやっと到着したみたいだ。 さきに他の人のお産があったらしい。 投稿日 : 2010 12/26 02:56 投稿者 : 無明 「あんたでっかい腹しとんね~。双子?」 助産士さんもさすがに驚いている。 子宮口の開き具合なんかも診てくれたが、今は家族としゃべっていた。 旦那はボクの手を握っている。 心配性だなぁ。 投稿日 : 2010 12/26 11:37 投稿者 : ゆうり さっきの破水は陣痛で子宮が収縮したことに驚いた赤ん坊が蹴って羊膜を破いたらしい。 「・・・まま?」 「・・・どこぉ?」 しばらくしてミキがお昼寝をさせていた双子が起きてきた。 投稿日 : 2010 12/27 01:29 投稿者 : 無明 見かねた母が寝かしつけに行った。 一番の経験者たる母がいないのは少しだけ不安だが、問題ない。 「ふぅん、まだまだじゃろ?今から肩肘張っとったら疲れるでぇ?今は力抜いて楽にしとき。」 助産師のおばあさんにそう言われ、ボクは少し体勢を崩した。 「これでもな、あんたで百人目なんやから、このババ信用しいや。」 投稿日 : 2010 12/27 15:25 投稿者 : ゆうり 「100人・・・っ!」 「そう今年はおまえさんで100人目というわけじゃ。」 この助産師さんって凄いんだなぁ。 投稿日 : 2010 12/28 23:01 投稿者 : 無明 1時間もすれば、いよいよ陣痛は「本物」になった。 「うん。もうええで、気張りぃや。」 助産師さんからもゴーサインを萌えあい、ボクはいよいよいきみ始めた。 だが、ここからが本当の地獄だった…… 投稿日 : 2010 12/28 23:32 投稿者 : ゆうり 「ヴっ!」 いくら息んでも赤ん坊が出てこない。 「へんやね。」 助産師さんは相変わらずのんきだ。 投稿日 : 2010 12/29 00:21 投稿者 : 無明 「こんだけでっかいもんなぁ。しゃあないわなぁ。」 助産師さんはそう言うとお腹を押し始めた。 「もっぺん気張りや!あんたにしかできへんで!」 助産師さんが励ましてくれるが、正直言ってかなりキツイ。 かなりデカイのは間違いないだろう。 投稿日 : 2010 12/29 00:35 投稿者 : ゆうり 「っつぅぅぅ!」 旦那に抱きつきながら息んでいく。 「その調子でしっかり気張り!」 助産師さんの指示で息んでいく。 投稿日 : 2010 12/29 21:27 投稿者 : 無明 そして十数回はいきんだだろうか。 「お、出てきた出てきた。がんばりや。」 「うううううう!!!はぁっ!!」 痛い。 かなり痛い。 前みたいな感じではなくて、もっと。 「もうすぐ頭出るで!」 投稿日 : 2010 12/29 22:22 投稿者 : ゆうり 「ゆき姉ちゃん、頑張って!」 「もう少しだよ!」 妹たちも励ましてくれる。 「思ったよりも赤ん坊の頭は大きくない。頑張って気張り!」 助産師さんは的確に誘導してくれる。 投稿日 : 2010 12/29 22:59 投稿者 : 無明 だばっ、と辺りに羊水をまき散らして、赤ちゃんの頭が飛び出る。 スゴイ量だ。 でも、頭が大きくないということはつまり……… 「それ、もっぺんいきみ!!」 「うううううっん!!はっ、はぁ………」 でない、そこからが進まない。 投稿日 : 2010 12/30 00:36 投稿者 : ゆうり 「肩が少し広いけどこれくらいどうってこともないさ。」 助産師さんは赤ん坊の頭をゆっくり旋回させながら言った。 投稿日 : 2011 01/06 00:36 投稿者 : 無明 「うううううううううううううあああああああああああん!!!」 ご近所中に聞こえそうなぐらいの絶叫。 すると、これまた派手に羊水を吹き出させ、赤ちゃんが飛び出した。 「産まれたでぇ……ごっつい女の子や。こりゃ大物やで!」 産婆さんはまるで自分の孫のように喜び、赤ちゃんを抱かせてくれた。 「さ、まだ後産あるさかい、もっぺんだけ気張りや。」 投稿日 : 2011 01/06 15:17 投稿者 : 致良 「はっ、はっ、はぅんんん」 赤ちゃんが出てきてから、これで三回目の息みだ。 何かが産道に引っ掛かっている感じがしたが、それだけ。 何故なんだろうか、ボクの後産はなかなか進まなかった。 「んん、んんんーーー」 巨大児だけあってか、へその緒もまた通常の倍以上も太い。 予測に過ぎないが、恐らく胎盤もかなりの大きさに違わない。 まるでもう一つ小さめの胎児を産んでいるみたいな感じだ。 投稿日 : 2011 01/07 12:11 投稿者 : 無明 産婆さんの手伝いもあり、4回目のいきみでようやく胎盤を出すことが出来た。 計ってみれば胎盤だけでなんと3kg。 そりゃあ出しにくいはずだ。 そして肝心の娘は、4200gもあった。我ながら良く下から産めたものだと感心してしまった。 投稿日 : 2011 01/09 18:54 投稿者 : 致良 「んぎゃー、んぎゃー」 娘の産声を聞きながら、ボクは目を閉じて心で念じた。 やっと、ボクは再びプレママと言う臨時職から卒業した。 どちらかと言うと、なかなか産み応えのある出産だったが、 さすがにこんな辛い仕事はもうごりごりだ・・・ 合わせてもう三人も産んだし、小鬼も満足してくれるのだろう。 家計も考えないといけないから、今度こそちゃんと避妊しよう。 ・・・と、『この時』ボクは心の中で堅く誓っていた。 ラッキープレサード へ つづく ← 前編:ラッキープレグ 続編:ラッキープレサード → |