瓦礫

一部、読みやすさを考慮し、改行数を調整させて頂いた部分がございます。(熊猫)

投稿日 : 2010/07/16 18:52 投稿者 : vaw

「未奈、いよいよだな。」
「ええ。もう生まれるからかしら?はとっても元気がいいのよ。この子達。」
「そうか。2人もいて、大変だったろ。あと少しだからな。頑張れよ。」
そう話しながら病院の産婦人科の待合ロビーに腰をおろした浅野夫婦。
妻の未奈は初産で双子を妊娠中。今日から入院してあさって帝王切開の予定だ。
夫の圭輔は未奈を座らせてから受付に行った。
「ええ、はい、よろしくお願いします。」
「かしこまりました。少しお待ちくださいね。」
圭輔が受付をすませ未奈のもとへ向かおうと体の向きを変えたとき・・・・・・・
彼の目にとびこんできたのは、大きなお腹をした元浮気相手だった。



投稿日 : 2010 07/16 18:59 投稿者 : vaw

未奈がお腹をさすりながら楽しそうにしゃべる相手、それが彼の元浮気相手、相川くるみだったのだ。
くるみのお腹は双子を妊娠している未奈より大きかった。
圭輔は凍りついた。

圭輔は浮気をしていた。
4歳年下の未奈という彼女がいながら、会社の先輩、年上の女くるみにも恋をしていた。
未奈との結婚の話が進むにつれ、圭輔はくるみとの恋に終わりを告げる。
しかしくるみは別れる条件として最後に一度SEXをすることを求めた。
仕方なく条件を飲んだ圭輔。もちろん避妊もした。
なぜくるみがここに?なぜ妊娠している?圭輔は頭の中が真っ白になった。

「圭輔!」
未奈が圭輔を呼ぶ。
同時にくるみが圭輔を見る。
「・・・・・・・・・・・・。」
くるみも圭輔も見つめ合った。
「圭輔・・・・・。」
「くるみ・・・・・・・。」



投稿日 : 2010 07/16 19:03 投稿者 : vaw

「え・・・?知り合いなんですか?」
未奈が戸惑う。
「え、ええ。会社の後輩よ。ね、圭輔くん。久しぶり。」
何事もなかったかのようにくるみが振舞う。
「お久しぶりです。」
圭輔は頭をさげた。
しかし明らかに様子がおかしい。
未奈は何かあると勘付いたがその気持ちを無視して応対した。
「そうなんですか。相川さん、お互いに頑張りましょうね。」
「そうね!圭輔くんも、かわいい奥さんね。」
「・・・・・・・・・ありがとうございます。」

そのときだった。



投稿日 : 2010 07/16 19:05 投稿者 : vaw

ドドドドドドドド・・・・・・・・・・・・・・・・・

ゴン!!!!!!!!!!!!!!!!



・・・・・・・・・・・・大地震だった。
圭輔はとっさに未奈とくるみの肩を正面から抱きしめた。


あたりが静かになったころ・・・
3人は頭をくっつけて気を失っていた。



投稿日 : 2010 07/16 19:10 投稿者 : vaw

「けい・・・・・・すけ・・・・・?」
「未奈!大丈夫か!」
「大丈夫よ。相川さん!相川さん!」
「・・・・・はぁっはぁっ・・・地震・・・・・?」
「そうみたいです。こんなの、奇跡だ。」

待合室のまわりは瓦礫で完璧にふさがっていた。外は見えない。
しかし待合室の内部は無事だったのだ。
この3人だけが待合室に閉じ込められてしまった。



投稿日 : 2010 07/16 19:03 投稿者 : vaw

「い・・・・・・・いたいっ!」
「未奈!」
「どうしよう・・・・・痛いよ・・・・・圭輔・・ああんっっっっ!!!」

「はぁ・・・はぁ・・・あーんっ!わた・・・しも!!!」
「先輩・・・!!」



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