永遠の妊婦

一部、読みやすさを考慮し、改行を入れさせて頂いた部分がございます。(熊猫)
一部、読みやすさを考慮し、文字の色を明るい水色から黒色へと変更させて頂きました。(熊猫)
一部、明らかなミスタイプがございますが、そのままにしてあります。(熊猫)

投稿日 : 2008/10/07(Tue) 14:09 投稿者 : ぽんぽん

あたしの名前はあや。すでに300年間も妊娠し続けている。

今から300年程前、そう、ちょうどこの子が6ヶ月の頃。

あたしは正体不明の病気にかかってしまう。うん、不治の病だ。

未来に新薬ができると信じて、あたしに死なない薬が投与された。

薬の効果で、あれから、あたしたち親子の時が止まったーー


こうして、300年の歳月が過ぎた。

死ぬことも、老いることも、出産が始まることもなく……



投稿日 : 2008/10/08(Wed) 17:18 投稿者 : ななし

お腹は小柄な大人が1人入っているくらいの大きさと重さで、家のなかを歩くのも精一杯ってくらいだった。
赤ちゃんにたとえたら、10人分くらいだとおもう。
今日もベッドに寝転がって仕事をしていた。
そのとき、
「ーー?!」
普段めったに動かない赤ちゃんが動いたかと思ったら、そのまま何かが締まるような激痛におそわれた。
すぐに治ったが、全身が汗ばんでいた。
息も荒い。
今になってーー陣痛きちゃったの!?
急いでそこにいたタクを呼ぶ。
「タク!タク!
もしかしたら陣痛かもしんないの!!
病院連れてっッッーー
~~~たぁ…」
また来た…
「痛い?
今さらなのか!?
よ、よし、つかまって…歩けるか?」
「うぅ…ふッ…いぃ…ーー」
だめだ…重い…痛い…
それでもなんとか車に乗り、この薬をもらった病院まで行った。



投稿日 : 2008/10/12(Sun) 18:14 投稿者 : 名無

「では、ついさっき陣痛が始まった…と」
「はい…ぁアッ…また来たかも…」
「では内診しますんで、あそこに座って下さい」
「あぁ、はいぃ」
うー…怖いなぁ
痛いんだから早く薬入れてほしいのに…
どうせ出産は手術になるんだし…
「はい。
ほんの僅かですが、開いていますね
しかし…」
「…ーッ?」
「申し上げづらいのですが、」
なんなの?
気になる…!!
「お子様は自然分娩でないと出産できませんね」



投稿日 : 2008/10/14(Tue) 00:18 投稿者 : 通りすがり

「え...それ、どういうことで、ーーーッ!!」
「実は、あなたに処方された薬には副作用がありまして...麻酔が効かない体質になってしまうんです。麻酔が効かない以上、手術は不可能です」
「そ、んな...!」

私のお腹の赤ちゃんって...普通の赤ちゃんよりずっと大きいはずよね?
なのに、手術出来ないの?こんなに痛くて苦しいのに?

どうせ手術だから楽、と高を括っていたのに...まさか、こんなことになるなんて...



投稿日 : 2009/02/17(Tue) 00:19 投稿者 : 熊猫

さらに医者は驚くべき事を口にした。
「まだ、そんなに子宮口も開いていませんし、とりあえず今日はこのまま入院してください」
医者はまだまだ時間がかかると言う。明日中に産まれなければ、考えましょう。とも言った。

そのままストレッチャーで、病室へと運ばれた。
6人部屋にはすでに5人の妊婦がいた。どの妊婦もはちきれんばかりに大きなお腹をしている。
数時間後に、一人の妊婦が痛みを訴え、分娩室へと運ばれていった。
あやの隣と向かいの妊婦は知り合いなのか、二人とも話し好きなのか、あやが病室に運ばれてからもずっと喋っていた。
これから我が身に起こるであろう出産の痛みがどれほど凄いか、
鼻の穴からスイカを出すようなものだとか、気絶しそうに痛いとか声高に喋っている。
主に喋っている方が双子だと言うが、あやのお腹の方があきらかに大きかった。
タクはまだまだかかると聞いて、一旦家へ戻っていた。出産の準備を用意してからまた来るという。

外が暗くなって、あや以外の妊婦が分娩室に運ばれていっても、あやは呼ばれなかった。
幾度か陣痛らしき痛みが来て、ナースコールを押したが、ベテランのナースは一瞥しただけで、まだだと言うだけだった。
もうすでに、我慢ができなかった。しかも、まだ破水していないので息んではいけないという。
ひたすら痛みに耐えるほかなかった。



投稿日 : 2009/05/21(Thu) 22:18 投稿者 : 舒龍

痛みはひっきりなしに私を襲う。
ついに、破水したのは、夜が明けて、カーテンからは黄金色の朝陽が差し込んでいた。

やっと産める!
両手が自然にお腹を撫でさする。はちきれない方がおかしいくらい大きく膨らんだお腹…。

ごつい看護士がやってきたが、私をストレッチャーに移す事ができず、4人がかりでやっとの事でストレッチャーに移され、分娩室へと向かった。

(ようやく会えるね)
腰から下をナタで断ち切れるような激痛の合間を縫って、お腹の中にいる赤ちゃんにそっと話しかける。
既に陣痛の間隔は5分になっていて、子宮口もほとんど開いていた。



投稿日 : 2009/10/22(Thu) 17:19 投稿者 : 愛

分娩室の中に入り、
私は、分娩台にのった。

とても激しい痛みが私を襲う。
今までにないくらいの。

私は足を広げ思いっきりいきんだ。
陣痛に耐えた。
そう、何度も何度も。

だが、赤ちゃんはなかなか出てこない。


しばらくしても、赤ちゃんは出てこなかった。
すると、一番偉いと思われる、助産師の人がこっちに来て、

「赤ちゃんはとても大きく、まだまだ生まれそうにありません。
 もうしばらくかかるでしょう。
 ・・・現在、分娩室が大変混んでいるんです。
 ・・・なので、一度陣痛室に行っていただけないでしょうか」

そういった。

ありえない!と思ったが、看護師たちは、
私をストレッチャーにのせ
そのまま分娩室へと運んでいった。



投稿日 : 2009/11/08(Sun) 15:45 投稿者 : 舒龍

たしかに、助産師の言うとおり、次々と産婦が運ばれて来て、分娩室へと運ばれていった。
しばらくしてもまったく陣痛が進まないので、看護師がやって来て、分娩促進剤を注射された。
さらに、タクに陣痛を促進する効果のある三陰交といううちくるぶし近くのツボを押してもらったり、
ネットで陣痛促進効果のあると人気のラズベリーリーフティーをタクに買って来てもらってそれを飲んだり、
効果のあるといわれるものは全て試したが、まったく効果がなかった。

効果がないばかりか、まったく陣痛が来なくなってしまった。
昼前に一般病棟へ戻り、それでも陣痛が始まらず、精密検査を受けた結果、医師から驚くべき事を告げられた。
赤ちゃんが産まれる気配がまったくないという。どうやら陣痛が収まってしまったようだった。
医師も驚いていた。過去に例がなく、現代医学でもまったく原因不明なのだという。

病室にも限りがあるということで、しかたなく家へ帰ることにした。
また はち切れそうなくらい大きなお腹を抱えての生活が始まった。
といっても、ほとんどタクがやってくれるので、私はソファに座ったままだったが。

検診するたびに、検査をしたが理由はわからなかった。
こうして、数年が過ぎていった。



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