一部、読みやすさを考慮し、改行を入れさせて頂いた部分がございます。(熊猫)
投稿日 : 2009/09/24 01:17 投稿者 : ナンカワ 俺は自分の性格をを問われた時、いつも冷めた人間だと答えるようにしている。 よくつまらないだとか散々なこと言われるが、んなこと言ってもこれが俺という人間なのだからしようがない。 要するに昔からあんまりびびらないのだ。 「……?」 そんな俺でもこの村来た時は度肝を……というよりクエスチョンマークを頭上で展開するハメになった。 ウチの村を助けてくれ…… 俺の人生の中で幾度となく耳にしたその言葉を、目の前にいる女性は口にした。 「殺し屋ヒリュウ」 この近辺でその名を知らぬ者はいない。 闇に生きる人にあらぬもの――俗にいう妖怪を退治するのが本業だが、 その成果たる討滅した妖怪の数が他の同業者の比ではなく、故に退治屋ではなく殺し屋という異名がついた。 それが俺だ。 物騒な名前を持ってしまったが、俺はまだ18、世間的には少年の範疇だ。 だからよくに依頼者にナメられたり偽物ではないかと勘ぐられたりするが、 怪物との激戦でついた右目から頬にかけて深い傷のある顔と、まるで血を模したかのように不吉な二つの深紅の瞳と大抵彼らは大人しくなる。 「んで…」 次の獲物は何か? 俺は早速次の仕事の支度にとりかかった。 投稿日 : 2009/10/03 20:38 投稿者 : ナンカワ 話は冒頭に戻る。 俺が案内されたのは人口100人も満たない小さな村だった。 回りを山に囲まれたその村は、 主にシカやイノシシなんかの毛皮やら村全体で作ってるとかいう農産物を他の村と交換することによって生計を立てているらしい、なら尚更妙だ。 「なぁ、一つきいていいか?」 「…なんでしょう?」 「最初から気になってたんだが……」 俺は村に着いて感じた違和感を率直に問う。 「どうしてこの村には男がいない?」 狩猟に農耕、力仕事の代名詞みたいな仕事で食っているような村、そんな場所でこの光景はあまりにも異常であった。 いたるところにある畑やだだっ広い道、そのどこにおいても働き手たる男たちの姿が見えなかった。 道行く人は女ばかり、時たままだ言葉を覚えてるかいないかぐらいの男の子が母親におぶられている姿などは目にするが、それ以外、 若者はおろか杖を突く老人にいたるまで「男」と付くものは神隠しにあったかのように忽然と姿を消していた。 「異国の神話で確か…… あまぞねすとかなんとか言って女だけで生活する民族なんてのを耳にしたことがあるが、まさかおたくらのとこがそうとは言わんだろ」 皮肉をこめて言うと依頼者は黙りこんだ。 「どういうことか説明願おうか、なぜこの村には男がいないのか、んでもって俺に殺してほしい化け物ってのはいったいなんなのか…」 問われた女は少しの間黙り、やがて溜息を一度つくと重い口を開いた。 「あれは半年ほど前のことでしょうか……」 |