一部、読みやすさを考慮し、改行を入れさせて頂いた部分がございます。(熊猫)
一部、明らかなミスタイプがございますが、そのままにしてあります。(熊猫)
この世界には少子化対策の為、間を空けずに子どもを生み続けるという使命を与えられた民族がいるそれが・・・子産族だ。 津田南16歳。津田家は代々子産族の家系だ。 南は高校入学と同時にこの事を知らされた。言われてみると姉も母もおなかが大きくない姿をあまり見たことが無い。 子産族には国から精子提供がされる。子どもが生まれないと困るからだ。 幸い南の初めての妊娠は大好きな彼との自然妊娠だった。 妊娠した子産族は特殊な学校に行くことになるが校内での出産は認められない、 つまり陣痛が始まっても家に帰るまでは耐えるしかないのだ。 さらに病院にかかることも出来ない。たった一人個室にこもって出産するしかないのだ母も姉もずっとそうしてきた。 南妊娠10ヶ月。とうとう今月子どもを生むのだ 大きなおなかを抱えて登校するものは少なくなかった。 南もその1人だ。 大きなおなかはずっしりと重く学校までの距離がとてつもなく長く感じた。 彼女たちは子産族。 勉強は4時間お昼を食べて下校する。 ある日、学校にもうほとんど近い場所で南は足を止めた。 おなかに違和感を覚えたのだ。 少しだが張り始めている。 でも南はまだ平気だろうと学校へと足を進めた。 学校に着くと張りはさっきよりも強く、間隔も少し狭まってきていた。 1時間目の中盤になると張りは10分間隔ほどの痛みになっていた。 南は痛みが来るたびに息を吐いて逃していたが、次第に痛みは増すばかりで、南はおなかの子どもに抑えるようにと祈った。 3時間目、陣痛の間隔は5分まで進み意見を言うことも先生の話さえ聞けなかった。 4時間目に入ると息を吐くばかりか少し声も出てくるようになった。 いつしか先生への愛想笑いさえ難しい状態になっていた。 やっと帰りのホームルームが終わった。 南は急いで家に帰ろうとするものの痛みが邪魔して中々前に進めない。 玄関についた。 痛みの間隔はもうあるかどうかもわからないくらい狭まっている。 中に入ると制服のまま部屋に駆け込んだ。 部屋に入って安心したからだろうか、破水した。 その後は今までに増して痛みは強くなった。 産道を子どもが通る感覚がある。 もうすぐ生まれるのか。 南はいきんだ。 何度いきんだだろう。 やっと頭が出てきた。 もう一度いきむとするんっと子どもが出たのだ。 部屋から出ると検査局の人間が待っていた。 初産の子どもは必ず国に連れて行かれる。 生まれて数10分の子どもを何人もの大人がどこかへ連れて行った。 数日後、南はまた使命にあたった。 完 |