芋幹~いもがら~

一部、明らかなミスタイプがございますが、そのままにしてあります。(熊猫)



「鈴歌ー、今は何時なのー?」
「んーと、んーと・・・ながいのは8のところ?」

私の問いかけに対する娘の精一杯の返答が、居間から廊下に伝わってくる。
8の所っと言うことは、つまり40分・・・うん、いけるみたいね。

兆候に気付いたのは、予定日より2日早かった今日の目覚めだった。

男の朝立ちのように、臨月に入ってから朝お腹が張るのが普通になった。
いつもとちょっと違う弱い生理痛らしい痛みもあることが気になって、
娘の鈴歌と一緒に時間を計ってたら、間隔は規則的――陣痛だった。

「ありがとうね鈴歌、もういいよ。さぁ、そろそろやよい先生が来る頃よ」

平日だったので、旦那は既に出勤していて、もうすぐ保育園のパスも来る。
陣痛の始まりを気付いたとはいえ、急にポンと産まれる訳もありえないし、
どうせ病院に連絡して予約を入れても、その前は自宅待機だろうしね。

とりあえず、普段通りにやっていこうか。慌てない、慌てない。

「・・・という訳で、この事はまだしばらく鈴歌には内緒にして欲しい」
「解りました。お母さんこそ、大変でしょうけど頑張ってくださいね」
「ではやよい先生、鈴歌をよろしくお願いしますね」

やよい先生に事情を説明し、万が一お産の進行が予想よりも早かった場合、
病院の場所が知らない鈴歌を先生のお家で一晩預かろうと、お願いもした。

「ママ、いってきま~す!」
「行ってらっしゃい」

バスの窓から元気に手を振っている鈴歌を見送った後、廊下に戻って、
そこに設置してある電話の受話器を手に取り、電話帳に挟むメモを探す。

「どれどれ、番号は・・・」

かける先は、三年前に鈴歌を産む時からたくさんお世話になっていて、
この半年間の二人目の妊婦検診でもおなじみの、佐崎産婦人科病院――




「はい、はい。では、短くなりましたらそちらにお邪魔しますので」

病院との電話を切り、居間のソファーに文字通り重い腰を落し、一息つく。
テレビでも点けようとしたが、見る場合でも気分でもないのでやめておいた。

「ホント、時間が過ぎるのって早いね・・・」

感嘆しながら両手を丸いお腹に落し、揺り篭の中の大切な宝物を愛でる。
思えば十ヶ月をもかけてじっくりと育て上げた、私の大事な大事な赤ちゃん。
こうやって一緒に居られる時間もとうとう、あとほんの少しの間だけ・・・

「いたっ」

反射的に時計を見る。9時15分・・・とすると前回からは35分ぐらいか。
手のひら越しに伝わってくる、まるで窮屈な空間へのクレームの力強い鼓動。
もう、この感じも味わえなくなるのか・・・今のうちにしっかり覚えとこ。

(トゥルルル――)

人がいい雰囲気で胎教をしようとしてるのに、こんな時に限って・・・
だるいから出たくない、ともいかないし、重い腰を上げて廊下に移動した。

「はい、高木でs」
「綾美! 無事か!?お腹痛い!?救急車は!? 今帰っていくからな!」

赤ちゃんと二人っきり享受できる至福の時間を台無しにぶち壊したのは、
他の誰でもなく赤ちゃんの実の父親、会社で働き中の夫からの電話だった。

「・・・大丈夫。陣痛もまた弱いし、出血もないのに呼んだら笑われるわ」

さてはやよい先生ね、確かに鈴歌には秘密にしてとしか言ってないだっけ。
下手にしたら、今や保育園中に知れ渡ったかも。うわ、恥ずかしい。

「病院に行くならその前に知らせてあげるから、あなたは仕事に集中して」
「ごめん、つい緊張しちゃってさぁ・・・怒った?」

さあ、どうでしょうね? お・と・う・さ・ん。

「ええ、怒ってませんよ。そんな場合でも気分でもないし」(ガチャ)

ったく・・・いつまで経っても子供みたいなんだから。




「たらいまー」
「はいはい、お帰りなさい」

結局、肝心な陣痛の間隔は30分前後で止まり、日中は変わりなく過ごした。
いつも通り掃除と洗濯をして、4時になったら鈴歌もいつも通り帰ってきた。

「ママ、あのね、きょうせんせいがいってね、すずかはおねえちゃんだって」
「やよい先生、やはり喋ったのね・・・った」

お米をとぎながら、台所にバタバタと入ってくる鈴歌との会話をする。
偶然かどうかは知らないけど、ちょうどその時にまた収縮が訪れてきた。

「・・・そうよ、鈴歌はもうすぐお姉ちゃんになるわ」

そんなに痛くもない上、まだまだ幼い鈴歌に心配させたくないから、
ちょっと歯を食いしばって、何とか無事のように装ってやり過ごした。

いやいや、こう見えても一応自宅で間隔が縮むのを待っている産婦だよ?
こうやって定期的に陣痛が来なかったら、たぶん自分ですら疑い始めてきた。

「すぐっていつ?」
「そうね・・・赤ちゃんに聞いてみたら?」
「うん! すずか、きいてみる!」

無邪気に冗談を真に受けて、そーっと耳をママのお腹に当ててくれた愛娘。
ふと思うと、鈴歌もついこの間までママのお腹の中にいたっけ・・・
あの赤ちゃんがこんなに大きくなって、お姉ちゃんになって・・・

「・・・ふむふむ・・・すずか、わかった!」
いつの間にか思い出に浸っていた私をリアルに呼び戻す、鈴歌の一声。
どうやら、赤ちゃんとの耳打ちが終わったようだ。で、その結果は?

「赤ちゃんはどう言った?」
「それがね、すぐ、だって!」

『ちょっとまて、それって問題ぜんぜん解決されてないじゃん!』と
ツッコミたくなるほどの、我が娘ながらなかなかのボケっぷりであった。




「うー・・・ふぅ、ふぅ」

夜10時を過ぎ、やっと痛みが15~12分までだんだん減ってきた。
流石に辛くなってきたので、ソファーで横になって、抱き枕にしがみつく。

「辛くないか綾美? お腹さすってあげようか?」
「ありがと・・・腰の後ろ辺りに、お願い」

あの電話であんなに怒られたにも拘らず、いざと言う時に頼りになる夫。
『ああ、私は一人で戦ってるわけではないんだな~』と、実感してくれる。
ちょっとそそっかしくて危ないけど、このやさしい所が大好きだよ、徹。

「鈴歌は?」
「夜遅くなったので、おねんねんしてあげた」

これで、鈴歌を起こさない限り、控えめに呻きをあげても平気になった。
別に仲間はずれにしたわけではない。幼い鈴歌にとって、ママが苦しんでる
姿を見ると、間違いなく泣き出してしまう。できればそうさせたくない。

「でも起きたらママが入院したってのも、十分驚くとは思うぞ?」
「あら、そう? 賭けてみる?」

鈴歌のことだから、絶対お姉ちゃんになった喜びで笑顔になっ――

「あぅ、くる・・・強いのが・・・っ!」

これだ、この痛みだ・・・3年前、鈴歌を産んだときと変わらない、
この背中を圧迫するような・・・変だよね、子宮が下腹部なのに。

「綾美、今のはーー」
「うん・・・今度は、10分を下回った、だね」

ついにこの時がやってきた。臨月に入ってから用意しておいた入院用の
バックを取り出し、中身を再度チェックして、いざ、女の人の戦場へ。

「電話、頼むね。救急車じゃなくて、ちゃんとタクシー呼んでよ?」
「わかってるって、もう許してくれよ」

冗談混じりながら、夫の徹が寝室から廊下へと走って行った。




「看護婦さん、綾m・・・妻の様子はどう? 産まれそう?」
「はい、3センチほど開いていましたね。ピークは明日の朝辺りかと」
「ほらね、だから言ったでしょ、まだ掛かるだろうって」

車に揺られて病院にたどり着き、診察の結果、また少し長引きしそうだ。
陣痛室で一人になるのが嫌だけど、朝までとなると鈴歌が心配になるから、
いったん徹を帰させて、場合によって鈴歌をこちらに連れてくるとした。

「ではおやすみなさい、何がありましたらコールで呼んでくださいね」

私のお腹に分娩監視装置をセットして、どこかに事務的な感じがする
セリフを残し、いかにも眠そうな看護婦さんは陣痛室から出て行った。
ギリギリ日付変わる時間だし、人間だから疲れるのは仕方ないか。

『あぁー、いたい、痛いイタイいたーい! 何とかしてぇーー!!』

この病院の陣痛室は個室タイプで、それなりの防音も施されてるから、
孤独しない相部屋の所もあるけど、私はこっちの方が落ち着くで良い。

『こわいこわいこわいぃ!! もういや、おうち帰るーーー!!』

・・・と言いたい所だが、さっきから隣の産婦さんが絶叫しすぎ。
多分初産ね、パニックに落ちたら無駄に体力を消耗するだけだと言うのに。
となぜか真剣に思った途端に、まさに付けたての陣痛計の針が動いた。

「はっ、ぅん・・・こっちだって、のに、いっ!」

なんとなく息みたい感が出てきたけど、理性がそれを止めさせた。
赤ちゃんが徐々下に降りてきたのが息みたい感の正体。良い現象だ。

「キミも、頑張っているのね・・・」

収縮で張り詰めているカチカチなお腹を撫でて、やや語弊があるけど、
この状況を作った張本人で、今や戦友でもある赤ちゃんと会話を交わす。

「怖がらなくて良いのよ。ママがここにいるから」

経産婦の余裕なんだろうか、取り乱してもおかしくない状況なのに、
案外緊張せずに『まだまだ』とか、いろいろと冷静に考えてしまう。
ああ、点滴を受けて目を瞑っていたら、急に眠気が・・・
本番までだいぶ時間もあるし、すこし休ませてもらうね・・・




夢を見ていた。お腹の赤ちゃんと一緒にうつろうつろ夢の中への夢。
繋がってかた共に経歴した色んな出来事が、目の前に駆け巡ってゆく。

「あのね、徹。私、またできちゃった、みたい・・・」
「えっ、ええええええ!?!?!?」

酷いツワリが襲ってきて、もしかしてと妊娠検査薬から陽性が出て、
キミがお腹にいる事を初めて知った時、パパとママはビックリしたわ。

気付くの遅かってごめんね。ホント、冗談抜きでアクシデントだった。
それにしても、この徹の驚く顔はこれからも一生忘れないかもね。

「ママ、おおがみさん?」
「違うのよ鈴歌、この中は赤ずきんじゃなく赤ちゃんが入ってるの」
「あかずきん、すずかも、あかずきんやりあいー」

お腹が大きくなって、鈴歌にキミを認識させるのが何日も掛かったね。
あれからキミは日に日に活発になって、よくママのお腹を隔てて三人で
赤ずきんごっこやったわね。のど渇いたオオカミ役はもうこりごりだ。

「今のところ順調と言って良いですね、ちょっと写真見ますか?」
「いいえ、結構です。性別は産まれてからの楽しみに取っておきます」

パパと相談して、キミの性別については検診で聞かないようにした。
果たしてキミはパパがほしい男の子かな?それともまたまた女の子かな?
ママはね、キミが健康で生まれて来ればどちらでも大歓迎だからね。

「鈴歌、赤ちゃんの名前はどれが良い?」
「えーとね・・・こっちと、こっち!」

上の子が幸運を呼ぶって噂を聞いてたら、何枚の名前カードを書いて、
これからキミのお姉ちゃんになる鈴歌に選ばせてもらった時のことね。
さてさて、気になるそのお名前は?答えはCMの後! なーんてね♪

「あっ、イタイ・・・ちょ、怒っちゃった?・・・いたっ、イタタタ」

身体を襲う荒い痛みに目を開けて見てみると、病院のベッドの上だった。
えーと、今は・・・午前4時か、さすがに長く寝かせてもらわないよね。
記録紙をチェックしたら、いつの間に5分間隔に。道理で痛いわけだ。




「う、うぅ・・・ひっ、いっ、ふぅうー」

ヒッヒッフーと呼吸法を実践したくても、痛いときはやっぱとても痛い。
上手く発音できないのは仕方ない・・・ていうかできる人が羨ましい。

徹がパジャマを着てる鈴歌を連れて陣痛室へと駆け込んでくれたのは、
空が明るくなりかけた朝5時あたり。鈴歌を巻き込むのは嫌だったが、
波に打たれる今の心境はもうどうにでもしてーといった感じ。

「あ、あの、徹?」
「むにゃむにゃ・・・はっ!?ね、寝ちゃってませんよ、部長!」
「もう、普通に寝ぼけるのやめて・・・もれそう、なの」

6時半頃、子宮口がようやく9センチまで来た。増してゆく陣痛に加え、
赤ちゃんもだいぶ骨盤にもぐり込んだようで、その、圧迫されて・・・
夫の肩にしがみついて、おしっこをする為に陣痛室から出た。

うるさかった隣の部屋も、およそ一時間前から無人状態に戻っていた。
あの人いま分娩室にいるかな。それとももう回復室に行っちゃったかな?
見も知らない出産仲間の心配をしてるうちに、トイレの前に着いた。

「一人でできる?手伝ってあげようか?」
「平気よ、たぶん・・・じゃ、いってくるね」

男である徹を女子トイレの外に置いて、2メートル先の便器に向かう。
鈴歌の時もこんなやり取りあったっけ。まあいいや。えと、裾をあげt

(ぱぁん)

「あ。」

体の芯から直接耳の中へはっきりと聞えた、何かが鈍く弾けた嫌な音。
赤ちゃんを包んだ柔らかい水風船の、最後の勤めが始まったみたい。

「・・・どうしよう、やっちゃった・・・」

一瞬放心状態に陥ったせいか、パンツが意味を成さない程の勢いで、
冷たい空気に湯気立つほどの液体が両足を伝って地面に水溜りを作った。
もちろん、これの大半は羊水ではなく、私のお漏らしだった・・・




「一晩中よく頑張りましたね、高木さん。分娩室へ移りましょう」

まさに地獄に垂らした蜘蛛の糸のような、ありがたさこの上ない言葉。
聞くのは二度目なんだけど、その感動は微塵にも変わらなかった。
やっと、どんな拷問よりも酷いこの激痛から、解放されるーー

「は、はい・・・あなた、この子を、迎いに行ってくるね」
「ああ。行ってらっしゃい、綾美」

熟睡している鈴歌を夫に託し、何とか笑顔を作って陣痛室から出た。
本当は立ち会って欲しかったけど、徹は血を見たらマジ気絶するタイプで、
実際鈴歌の時倒れて病院に迷惑かけたから、今回は見送ることにした。

看護婦に支えられて、ゆっくりとなぜかすごく長く感じる廊下を渡る。
一歩、また一歩、踏み出す度に、赤ちゃんが中から落ちそうな感覚と共に、
キレイに磨き上げた床に、羊水で湿ったスリッパの足跡を残す。

「あっぐ・・・すみません、ちょっと、休ませて・・・っっ」

荒波は既に2分おきに1分ぐらい、どっちが間隔かと判らなくなった。
あの角を曲がってからすぐなのに、分娩室に辿りつくのは5分も掛かった。
ハイテクな椅子に座らされて開脚され、まずは内診で赤ちゃんをチェック。

「チクッとしますから我慢してくださいね、リラックス、リラックス」
「う、うん・・・あ、痛い、いたい、ぁぁぁん!」

分娩台に乗ってたせいで気を抜いたか、先生が何かをやらかしたせいか、
この内診を皮切りに、いよいよ本格的に赤ちゃんが産道を潜りはじめた。

「痛いなら手でレバーを引いて、腰に力がはいらないように」

これだけ体積のある赤ちゃんが、あれだけ狭い所から無理やり出てくる。
いくら羊水の手助けがあるといって、こじ開けるに近いのは変らない。

「はひー、いっ、あああ、ふああぁぁぁ!!」

息むのはまだダメのようだけど、叫ぶのはもうしても良いよね?
今までの温存で溜まってた分を倍返しにするかのように、全精神を使って、
たった今この身に科せられた試練と苦痛を、世界中に知らせてあげたい。




「深呼吸して・・・はい、息んで!」
「っん、んんん、ふぅんんんあぁんーーー!!!」

・・・これでもう何回目だろう。お腹にグッと力を入れてやったのに、
なのに、全然出そうな感じはない。まるで、拗ねている子供のよう。

「はぁ、はぁ、はぁああぁああんんんーー!!」

一晩蓄積した疲れもあってか、ちょっとづつ意識もうろうとしてゆく。
霞んでゆく視界に、いくつかの面影と声が走馬灯となって浮かびだす。

「綾美」「綾美」

育ててもらった恩は忘れない、いつまでも元気でいて欲しい両親・・・

「あやちゃん、遊ぼー」

幼馴染で親友のハルちゃん、今どこでなにをしているのだろう・・・
好きな男の人と結婚して、幸せに暮らしているのだろうか?

「ちょっとだけで良いから振り向いてくださいよ、先輩~」

後輩の松原くん、ごめんね気持ち答えなくて。だって、私は――

「あ、あや、綾美、お、おお、俺と、け、結婚してくだしゃい!」

五年間も付きあってずっとずっと待っていた、徹くんのプロポーズ。
おかしいな、嬉しかったはずなのに、涙が止まらない・・・

「ママ、ママ! あのね、きょうすずかはね、ほいくえんでね」

大好きな人と結ばれてまもなく、神様がお祝いを贈ってくれた。
目に入れても痛くないくらい、鈴歌という名の、私たちの赤ちゃん。

「本当にこの名前で良いの?」
「良いんじゃない? 男でも女でも通用するでしょ?」

そして再び私の中に授けられた二人目の天使。そう、キミの名前は――




「先生! 頭が見えました! 発露です!」
「高木さん、体の力を抜いて、足だけで踏み台をグッと蹴って!」

股にデカイ塊・・・赤ちゃんがぬるりと通過している気がした。
先生の指示に従い、短呼吸に切り替わってから、天井を見上げて――

「はっ、はっ、さぁ、おいで、『すみな』・・・ぁはあん!」

ビグッンっと体が強く反って、ずっと共に生きていた新たな命を、
住み慣れていたママのお腹の中から、外の世界へと、押し出す。

「ほぎゃあ、ほぎゃあ」

ーー新生を称える甲高い産声が、割と狭かった分娩室に響き渡る。
晴れて3146グラムもある健康児で、娩出したのは朝の7時12分。
なんと、陣痛自覚から数えば丸一日にも及ぶ大立ち回りだった。

「おめでとうございます! 元気な女の子ですよ、高木さん!」

バスタオルにくるまれ、正真正銘産まれたてほやほやの『清奈』が、
私の胸の上に乗せられる。完全にショート寸前の脳がおかしくなって、
うまく姿を捉えなかったが、夢の中で見た顔とそっくりな気がした。

「ほぎゃあ、ほぎゃあ」

手足を元気に動かして、目をちょっぴり開けたりする、とても可愛い。
産まれると陣痛の痛みも忘れるっての噂は、本当の事だよね・・・

「無事生まれてきてありがとう。これからもよろしくね、清奈」

                           おわり



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