執念

一部、読みやすさを考慮し、改行を入れさせて頂いた部分がございます。(熊猫)
一部、明らかなミスタイプがございますが、そのままにしてあります。(熊猫)

投稿日 : 2009/05/11 15:00 投稿者 : 由奈

「はぁ、はぁ、今はまだ30分間隔くらいね。」
私は里佳。
職業は漫画家。
私はどうしても書きたかった漫画があった。
それは自分がモデルの出産の漫画だった。
だから出逢い系で知り合った人とやって妊娠したの。
臨月になって予定日から1ヶ月以上たっちゃったけど、やっと陣痛がきたみたい。
私は特注で、赤ちゃんが通れる穴が開いていて足が固定でき、漫画が書きやすいミニ机がついた椅子をつくってもらった。
もちろん、赤ちゃんが生まれるところの近くに見逃さないようにビデオも用意して、大きい鏡も用意した。
「はぁ、はぁ、今は三センチね・・・。」
もちろん陣痛がおさまってるあいだは出産してるのも忘れて漫画を書いてるの。
しかも赤ちゃんがでてくるのがみやすいように素っ裸。



投稿日 : 2009 05/14 10:44 投稿者 : わいけー


「ハア...ハア...またっ...」
陣痛が来ている間は、脱力しつつ 次に描くページの
一コマ一コマをどんな絵に仕上げようかイメージしてやり過ごす。
なるべくリアリティある描写にしたいから、出来るだけ細部まで具体的な図を思い浮かべる。
「このコマはもう少し顔を...ダメだわ、逆にインパクトが強過ぎる...見てて不快になるかも...」
念を押すけど、私が描きたいのはあくまで「自分をモデルにした出産漫画」 であって体験記じゃない。
だから必要に応じて所々に脚色や誇張を加えたり、時には表現をオブラートする。
そうしないと表現が淡泊過ぎたり生々し過ぎたで... とても納得出来ない。
「産むだけなら病院でも良いじゃないか」
という人はわかっていない。 見方によっては病院での出産は決して安全ではないから...。
薬漬けで、性器をギチギチと弄られた揚句に鋏で切られて...おまけに赤ちゃんともすぐ引き離される。
医者の都合優先な、少なくとも私にとっては精神衛生上最悪の場所。
これが一人で産むことにした理由その一。
でも、やっぱり不安だったから何かきっかけが欲しかった。
運よく、その「きっかけ」は意外に早く訪れた。 美大生時代、外国にホームステイした時のこと。
アーティストサークル仲間の1人が「無介助出産(UNASSISTED・BIRTH)をする」
と言い出したのだ。 皆あまり驚かなかった。
どうもその国ではあまり珍しくないらしい。
彼女も独り身で、 「結婚はしたくないが子供は欲しい」とよく言っていた。
私は「是非立ち会わせて欲しい」と頼み込んだ。
勿論断られたが、後日彼女から「次は貴女の番よ」とその時のDVDを譲り受けることが出来た。
画面の中の彼女は私を意識してか、 陣痛の間隔が長いうちは用意するもの、注意することまで丁寧に説明してくれており 、非常に参考になった。
帰国に際して、迷いが吹っ切れた私は彼女に 漫画が描き上がったら最初に見せると約束し、その国を後にした。



投稿日 : 2009 05/14 16:48 投稿者 : 由奈


「はぁ、はぁ、っ!」
陣痛の間隔が段々狭くなってきた。
「今は・・・3センチくらいね。」
私は子宮口に指を入れて確認した。
赤ちゃんも下に降りてきてるのかお腹が下腹部あたりに下がっている。
お腹は既にカチカチだった。
一人で出産するため、たくさんの出産に関する本を読んだ。

「あ・・・。」
シャーー
私は尿意を感じたかと思ったら膀胱を刺激され、尿が出てしまった。
尿が出されると、突然陣痛の間隔がまた狭くなってきて10分間隔になり、息みたくなってきたのだ。
そして一緒に便意まで襲ってきた。
妊娠中、特に後半はずっと便秘ぎみだったのだ。



投稿日 : 2009 05/20 08:03 投稿者 : わいけー


突然の失禁と便意に、羞恥心が掻き立てられる。
自分一人しかいないのはわかっているけれど、やっぱり恥ずかしい。
今、他人が私の顔を見たら、大層真っ赤になっているに違いない。

(まだ恥ずかしがるだけの余裕があるってことよね・・・)

わたしは考え直した。この日のために毎日瞑想してイメトレに励んだのだ、
出産に対する意識改革は完璧だと自負している。
一旦手を止め、傍らに用意してあった蓋付きのごみ箱を椅子の下に置き、排便欲求に促されるまま、力を込めた。

「うん・・・んんん・・!」

シィィーー!・・・尿が勢い良く放物線を描き、ジョボジョボと
ごみ箱に溜まっていった。
同時にブピッと下品な音を立てて、まず溜まりに溜まったガスが抜ける。
が、肝心の「大」はなかなか出ない。
続けて力を込めると、「メリッ」というやはり下品な音を立てて直腸が軋むが・・・出ない。
何度力を込めてもやっぱり出ない。
私はじれったくなって、再び漫画を描き始める。
できれば今のうちに出して後々娩出を楽にしておきたかったが、
そればかりに集中するといたずらに時間を食いそうなので仕方なくそのまま作業を続けることにした。
~二時間後~
急激に進むかと思った陣痛は十分間隔のまま進まない。
子宮口も四センチ・・・あれから一センチしか開いていない。
その間に様々な事態を想定して、その都度下絵を描き上げては失敗した原稿を股下に捨てた。
「焦ってはいけない、待つのが大事なのだ」と、ビデオの彼女が言っていたのを思い出して、その時をまつ。



投稿日 : 2009 05/20 08:44 投稿者 : 由奈


「書けない。少し運動したら産まれるかしら?」

何もしないで待つより少し運動したほうがいいと思い、部屋の中をグルグル歩いていた。
10分くらい歩くと陣痛がきての繰り返しだった。

「はぁ、はぁ、つぅぅぅ!」
1時間くらい歩き続けてたら、間隔が狭くなり陣痛も強くなっていた。
また椅子に座り、取り敢えず子宮口を調べたら既に全開だった。
「はぁ、はぁ、全開みたいね。あ・・・。」
子宮口は全開だったが、陣痛もそれほど強くなく、まだ肝心の破水をしていない。羊水さえも漏れてこないのだ。
しかし、子宮口に手を入れて診ると奥の方に熱い塊があった。



投稿日 : 2009 06/08 00:10 投稿者 : わいけー


「急に進んだわね・・・ふう、ふううっ、」

さっきまで待っていたいきみの衝動をこらえながら、触った感じ、鏡で見たものを自分のできうる限りの表現力を駆使し、原稿用紙に描き込む。

「はあーーー、ふうーーっ、んんん!!」

一通り描き込むと、今度は陣痛の波に合わせていきむ。
産道を確認して、描いて、いきんで、また確認して・・・・それを繰り返しているうちに、赤ちゃんは私の膣口から見え隠れするところまで降りてきた。
破水していないので、まだ羊膜に包まれている。
そのせいで、頭かお尻かは判別できない・・・
が、これまでの経過は軒並み順調だ。後一時間強で産み落とすことができる・・・・ハズだった。



投稿日 : 2009 06/08 18:37 投稿者 : リユ


しかし赤ちゃんが出たり入ったりを繰り返すが赤ちゃんは中々でてこなかった。
「はぁ、はぁ、うぅーーーーん!」

羊膜に包まれている赤ちゃんをさわっていてあることに気づいた。
「(あれ?これってわれ目?)」
そこは普通の出産なら頭がある位置にお尻があるのだ。
「逆児・・・でも・・・逆児なら足よね・・・。」

私はすぐに出産の本で、調べたがなかった。
「はぁ、はぁ、うぅーーーーん!はぁ、はぁ。いっだぁぁぁぁぁぁ!」
赤ちゃんは、お尻からのため、普通の出産よりも産道が拡大され、内臓が引き裂かれるような痛みに襲われる。
赤ちゃんは、産道の入り口の辺りでつまっているようだった。



投稿日 : 2009 06/27 16:36 投稿者 :無明


それでも私はいきむ。
そして1時間は経っただろうか?
赤ちゃんより先に、たまりにたまった「大」が姿を現した。
「んん゛っ、うぐっ…あああぁ…」
どさり、と音を立てて「大」が落ちた。
そしてそれと同時に陣痛が強くなり、私はいきんだ。



投稿日 : 2009 07/05 11:04 投稿者 : 由奈


バシャー
やっと羊膜が割れたのだ。
羊膜が割れたため、鏡で確認するとやはり、おしりからでてきてしまったみたいだった。
「はぁ、はぁ、どうしよぉ?」
さすがに本にものっていない出産に驚きを隠せなかった。



投稿日 : 2009 07/06 03:55 投稿者 : わいけー

「そういうときは焦っちゃいけないの、お産はひたすら待ちよ。」

DVDに映っていた彼女の助言が再び脳裏に浮かぶ。
半ばテンパッていた私は、おかげで我に帰ることができた。
・・・というより、吹っ切れた。
今が待つ時というのなら、私がすべきことは何か・・・
答えは一つ。

「うっく・・・あううううっ・・・!すうーーーっはーーーっ」

息を整え、水分を補給してから中断していた原稿用紙に筆を走らせる。
ココに至るまでの心境の変化も織り交ぜて、会陰が引き裂かれる間感覚も、
ひっきりなしに襲い来る陣痛をもインスピレーションに変えて
とにかく描く・・・描く・・・描く・・・!
汗だくで、前傾姿勢でデスクに向かい、足を開いて、押し広げられた性器からは胎児の腰部が覗いた私の姿は、
他人から見るとかなり異様というか、鬼気迫るものを感じるだろう。

(そう・・・これが、これが私の求めた姿!!!)

陣痛には波があり、今私はその特大の波を待っている。そして・・・

(きた!)

「んんんぐううううううううううーーーーーっっっっっ!!」

ペンを置く。
片手を胎児の尻に添えてここぞとばかりに渾身のいきみを加えると、
ミチミチと音を立てて胎児の下半身がが産道から捻り出た。

「ぐっく・・・ああああああ!!もう・・・少しいいい!」

私は息を溜め、原稿を再開しつつ次の「大波」を待った。



投稿日 :2009 08/02 19:35 投稿者 : 無明


そして、その次の「大波」が来るのと同時に、原稿を描く手を止め、両手で胎児を引っ張りだすように掴み、息んだ。
一気に胎児の肩まで抜けたが、頭が引っ掛かる。
当然だ。本来なら頭から抜けてくるはずだから。
「あっ、あ゛ァーーっ!」
痛みの余りに声が漏れる。
しかしそれでも、私は先ほどと同じ行動を繰り返した。
頭が一気に抜け、胎児の産声を聞いたのと同時に、全身の力が抜けた。
ああ、やっと産まれたんだ…
しかし、落ち着いてよく自分の体を見ると妙なことに気付いた。
「あれ、赤ちゃんが出てもお腹ってこんなに大きいものだっけ?」
会陰は裂けて痛いが、陣痛は収まっている。
いったいどういうことだろう?



投稿日 : 2009 08/08 23:10 投稿者 : 無明


「どうしよう…」
それから30分たったが、陣痛は収まったきり始まらず、途方に暮れていた。
子供の処置を終え、シャワーを浴びることにした



投稿日 : 2009 08/29 07:49 投稿者 : kj


シャワーを浴びようとお風呂場のドアを開けようとしたときだった。
「あぅ、き、たたぁぁぁ!」
大波が突然襲い、その場にうずくまった。



投稿日 :2009 08/29 21:20 投稿者 : 無明


「うぅ~、はぁ、ああっ…」
まさか双子だったなんて、考えていなかった。
でも、この子も産んであげなければならない。
産道も開ききっている分、先に出た子よりも進みが速い。
一回息んだだけですぐに排臨に至った。
しかしそこから、お産が進まない。
そしてこの子も卵膜強靭。
気づけばもう陣痛開始から丸1日がたっていた。



投稿日 : 2010 01/02 19:14 投稿者 :無明


なんとか風呂場にたどり着き、シャワーを浴びながら陣痛に耐える。
ふと思いついて爪を、羊膜に突き立てた。
すると再び破水し、陣痛も強くなった。
そして2回息んだだけで生まれた。
そして両腕で二人の子供を抱え、医師に連絡し、原稿をまとめた。




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