読みやすさを考慮し、改行を入れさせて頂きました。(熊猫)
投稿日 : 2007/05/06 21:18 投稿者 : るるぶ 百奈が出産した日、偶然にも同じく陣痛を迎えた女性がいた。 名は未来(みき)、百奈と同じ中学の同級生だった。 未来もなかなか結婚相手が見つからず、百奈とほぼ同じ時期にようやく結婚し、子供を授かった。 この出産工場と化した病院で産むのはとても抵抗があるが、他の病院も似たり寄ったりということもあり、贅沢は言えず、仕方なくこの病院で産むことにした。 陣痛が始まり10分感覚の頃、この病院に家族に付き添われやってきた。 最初は陣痛室でこらえ、子宮口が開くまで過ごす。痛みの感覚が短くなってきていたが、こらえられるうちは必死で我慢した。 投稿日 : 2007/05/06 21:26 投稿者 : るるぶ しかし、段々痛みは激しくなり、ついつい普段は出ない声が出てしまう。 「あああああああああーん、いたたたたたたーい、いたったーい、ああああああああ」 額や全身からは大量の汗が噴き出している。陣痛開始から9時間以上たち、助産師が様子を見にやってきた。 そして、「そろそろ分娩台にのって下さい」 引いた分娩台の番号を見て愕然とする。一番手前の分娩台だ。 百奈と同じように一番奥の300メートルの分娩台なら良かったのに。と心の中で思った。 未来も痛むお腹を必死で耐え分娩台まで歩く。全身からは汗が大量に流れ出し、お尻は割れそうなほど痛い。 しかし耐えなくては。分娩室に入ってからは自分の番号の分娩台まではたった10メートル足らずだ。 しかし、今の未来にとってはたった10メートルでも辛い。 投稿日 : 2007/05/06 21:34 投稿者 : るるぶ 分娩台に到着した未来は顔から火が出るくらい恥ずかしいが、痛くてこらえられないため、下着をおろし分娩台に跨った。 タオルも何もかけてもらえないこんな分娩台では産みたくない。 しかし、もうそんなことを言っている余裕はなく、お腹の痛みは激痛に変わっていた。痛みにあわせ必死でいきむ。 「ううううううううーん、うううううううううう、あああああああああああああーあああああん、あああああああああ」 分娩台のレバーを持つ力も強くなる。体中汗だらけだ。 隣の分娩台ではあまりの激痛に耐えられなくなった女性がとうとう、手足を固定されてしまった。恥ずかしさと痛みにより泣き出していた。 未来も他人のことを気にする余裕はないが、手足を固定されるのが嫌なので、暴れずに我慢していた。 投稿日 : 2007/05/06 21:42 投稿者 : るるぶ 分娩台にのってから更に数時間、必死で痛みと闘い続けた。呼吸は荒くなる。 「ああああああああああ、いたったったったったったったったーい、いたたたたたたたた、うわあああああああああああ、あんあんあんあんあんあん」 そして間もなく「パシャ」という感覚と共に足の間から温かい水が流れ出た。破水だ。 もう少しで赤ちゃんに会える。そう思い、必死でいきむ。 「あああああああああ、あああああああん、ああああああああああん」 そして、数十分後赤ちゃんの頭が出始めた。もう、股間は裂けそうだ。でも我慢し、必死でいきむ。 「プツン、ズルッ」 赤ちゃんの頭が押し出された。股間の裂ける痛みに大粒の涙がこぼれる。でもまた陣痛がやってくる。 投稿日 : 2007/05/06 21:49 投稿者 : るるぶ 赤ちゃんの肩を出さなければと思い、また、陣痛の波とともにいきんだ。 そして、しばらくいきみ続けると赤ちゃんの体が「ズルッ」と排出された。それとともに陣痛の痛みが嘘のようにひいた。 赤ちゃんの産声があがり、産後の処理が終わった後は、次の妊婦に速やかに明け渡さなければならないため、すぐさま病室まで歩かされた。 未来もフラフラで下半身は痛くてたまらなかったが、仕方なく病室まで歩き、やっと赤ちゃんと会うことができた。女の子だった。 投稿日 : 2007/05/06 21:57 投稿者 : るるぶ 未来はあれほど痛くてたまらない出産はもう二度と懲り懲りだったが、 数週間後、出生届を役所に提出しに行った際、政府関係者から第二子以降の出産を命じられ、 あまり出産の間をあけると役人が様子を見に来るため、やむを得ず第二子以降も出産することにした。 そして1年後、未来は再び妊娠、出産する。 またあの恥ずかしい出産工場のような病院だった。そしてその後さらにもう一人産んだ。 |